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パキラ ページ9

せっかく須貝さんに連れてきてもらったのに職業柄気になってしまう。グラスや食器も持ち上げて裏印までみてしまう。
料理がきても食器をみていたら「茶道のお茶碗でもそんなに見ないぞ」とツッコまれた。


「ごめんごめん。職業柄どうしても気になるんだよね。」

「バイヤーさんだもんな」

「うん。...なんていうかすごく刺激になるんだよね。こう、Interactionというか...Destiny...?感じるってかそんな感じ」

「へぇー、Aちゃんにとってバイヤーは天職かもね」

「Oh..Thanks」


美味しいお料理に舌鼓しながら今まで行った国のことや最近仕入れた商品のこと気付いたら私ばかり喋っていた。


「喋りすぎた。」

「はは!俺だって好きなことに関しては延々と喋れる自信あるからな!例えばアニメなんだけどさ...」


意外なことにこちらのナイスガイ、アニメオタクとやららしい。そしてアニメに全く興味のない私でも見てみたいと思えるように喋る、喋る。
まじでこの男、語りがうまい。プレゼンテーションのプロフェッショナル。


「...今期は来週から始まるから見てほしい!!木曜日25時から!」

「見てみたいけど、テレビないのだよ」

「え?まじで?」

「うん」


食べ終わってレジでお金を払おうとしたら「俺が誘ったから俺出すわ」と1万円札をスッと出すので「紳士的ィィ」と冷やかすと小突かれた。
しかし、さすがに申し訳ないのでポケットから千円札を取り出して渡そうとすると「財布がクリップはヤバい」とビビられた。
だって小銭入れはいんないんだもん。


「ごちそーさまでしたー」

「...お客様!...あのぉ、会話が少し聞こえたんですけどもインテリアがどうとかって」

「あぁ、はい。素敵なお店ですね」

「お料理も美味しかったです」


可愛らしいボブカットの店員さん。店長さんだろうか。


「実は…」


バルコニーと窓際席を改装するらしい。大体イメージはついているものの、予算の加減もあり、そこで色々悩んでいるらしい。


「いいっすよ。はい、これ携帯」

「あ、ありがとうございます」

「また来ます。そんときにでも詳しく話しましょ。じゃ」


レシートの裏に番号と名前を書いて渡す。店長さんは丁寧に折りたたんで、こちらへ丁寧に頭を下げてきた。


「須貝氏、連れてきてくれてありがとー」

「おう。Aちゃんって、アドバイザーみたいなこともしてるの?」

「進んではしてないよ。インテリアコーディネーターは持ってるけど」

「新事実」

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作者名:モスモス | 作成日時:2020年4月13日 0時

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