Albertina ページ38
※面倒くさいシリーズのCEOオチでは引越してますが、こちらのお話では引越してません。
大学からそこまで遠くないところにあるAちゃんの家。入るのは初めてだ。
「お邪魔しまーす」
「どーぞー」
古い木造の文化住宅2階。玄関入ると部屋が一望できる。真ん中にコタツが置かれていて、部屋に不釣り合いな高そうな座椅子と冷蔵庫。家具はそのくらいしかない。え?まじで大学生の部屋なの?
「サッパリしてるなー」
「あははー。なんか飲むー?」
「あ、うん」
「bajer?」
「バイア?」
「デンマーク語でビールはbajerっていうの。ちなみに、仕事終わりのbajerは「Fyraftensbajer」(フュアアフトゥンズバイア)っていうの。面白いでしょ?ビール大好きな国ならではよね」
「じゃ!俺も!えっと、フェア...」
「aftnns」
「アフトゥンズ」
「bajer」
「bajer」
「well done」(よくできました)
「もっかい!いくよ!フェアーアフトゥーンズbajer」
「bajerは完璧だよ!流石!でも、サムライdanishね!」
「ご褒美のbeer」と出されたのはデンマークのビールではなく慣れ親しんだ辛口のドライビール。それから、おつまみに出されたのはブルーチーズと生ハムとスモークサーモン。「これしかなかった」と言うが品揃えがカ○ディコーヒーじゃん。
「いただきます」
「うん、食べよ食べよ」
「ところでさ、何で誘ってくれたの?」
「え?あぁ!思い出した!これこれ!」
そう言って玄関を出て行ってしまった。どこいったんだろうか。と、思う前に隣の戸がバン!と開閉する音がした。
そして、ガチャリと玄関が開く。
戻ってきたAちゃんの手には何か陶器のようなもの。マグカップよりも一回りか二回り大きいものだ。
「…これ!!あげようと思ってたの!」
「へ?多肉植物?」
「そそ。エケベレア・エレガンスっていうの、これ。この前ね、カフェの店長さんがプレゼントしてくれたの。でもさ、あのカフェに行ったきっかけは須貝氏なので須貝氏にも渡したいから頑張って、親から子を育ててこれ!あ、陶器はボリビアのものにしてみた。ボリビアは遠すぎてなかなか行けないから貴重だよ?」
「ありがとう。そうだなぁ、勉強机の横の窓のところにでも飾ろうかな」
「きっと、アルベルティーナも喜ぶよ」
「ア、アルベルティーナ?」
「その子の名前。アルベルティーナ」
名付けられてたのか。
アルベルティーナは水をもらったばかりなのか葉はぷくぷくしていた。
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作者名:モスモス | 作成日時:2020年4月13日 0時