やっぱり面倒くさい【QK】 (ページ33)

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囮作戦ページ33

あの動画が投稿されて数日経った。有難いことに沢山の方々が視聴してくださった。ほんと、ありがと。ありがとね。心の中じゃもう全員と握手したい。握手で済むかな、ハグだなハグしてやろう。

なんて思いながら例の動画のコメント欄を確認してところ、後ろから声を掛けられた。振り向くと大人しそうな女の子(といっても同学年であろう)が2人いた。
昼下がりの駅前のカフェ。そこそこ混んでいる。4人席はやっぱ邪魔だったか？と思い「すんませんねぇ」と移動しようとしたがまだ何か言いたげである。

「あ、あのぉ...何か？」

「…ク、クイズノックのAさんですよね？！？！」

「...はい？」

「…この前の動画みてから、ファンになっちゃって！記事全部読みました！！えっと、サインしてください！」

...私は顔出ししてないが？何故知っている？お？え？あ？Ah ha？フリーズしそうなんだが？？

しかし、フリーズしている間にこの子の声で周りの人達も「え？あの人？」なんて騒ぎ出した。終いには「僕も動画みました！」と寄ってくる。

「あははー...」

動画を見てくれたのは有難いが...ハグはやっぱ辞めておこう。
気付けば小さな人だかりが出来ている。

えぇぇぇぇ...これどーすんの？と思っていたところ

道の向こうに見えた。
私はそれを指差して大声で盛大に言った。

「あー！！！！！あれは！！東大卒のクイズ王！！東大王！！！ワ○○ベエンターテイメントに所属しているクイズノックのクイズプレーヤー伊沢拓司さんじゃないか！！！！！！！！」

こちらを振り向いた伊沢氏の顔がすんごい顔だった。苦虫を噛んだような、忍び込んでいたのがバレた忍者みたいな。動画撮りたかった。

私は皆が「えっ」となっているうちに「じゃ！！！頼んだよ！！！」と自宅へ帰らせていただくことにした。

「！！！！囮にするな！！！！」

「お疲れ様でーーす」

しかし、神様は意地悪である。
自宅に帰って少し経った頃、作業しようかとパソコンを開けると、

「げ、USB忘れてる...オフィスじゃん...」

私は大きな溜息を吐きながら靴を履いた。