棚 ページ15
ある日のオフィス、珍しい光景があった。
誰のだ?山本か?どこぞのバスケチームのユニフォームを着たAちゃん。
手元には愛用のスウェット。
隣の空いてるテーブルに座りながら、何してんだ?とみてみる。本人は至って真剣である。めっちゃ眉間にシワ寄ってる。
「何してるの?」
話しかけた途端にパチン!という音が鳴った。
「うわぁぁあ!!!!Oh my god!!det er din skyld!!!」
「え??え??」
思いっきりズボンを投げつけられ、皆にケタケタ笑われる。いやいや、何事??
「須貝さん、コーヒーどうぞ。Aちゃんね、人生初のズボンのゴム通ししてたんですよ。何度も失敗して、やっとゴールみえてたところだったみたいですよ。」
「...あぁ、山森さん有難う。それで憤慨してたわけか」
「ズボンのゴム切れたから、僕のバスパン貸してあげてるんだよねぇ。レアAちゃんだよ?」
「なるほど」
「さぁ、Aちゃん!もう一度です!」
「頑張って!臥薪嘗胆(がしんしょうたん)!死中求活(しちゅうきゅうかつ)!一意攻苦(いちいこうく)!!」
「やまもち、これがゴム通してるだけよ?」
「いいえ!Aちゃんは今一生懸命に苦手に取り組んでいます!第一歩なのです!頑張って下さい!」
「...お前らめっちゃ大袈裟やん」
「は?須貝さんまでそんなこと言うのー?俺らAちゃん応援してんのに!」
応援はするよ?するけど?
超大袈裟じゃん!!ゴム通しなんか、小学校の家庭科授業だよ!!!余裕だよ!確かに途中で失敗してイライラするけどさ!!
「なんかさ、なんかさ、私!!燃えてきた!!A、頑張ります!!...ってことで、出来たら御褒美頂戴ね!ナイスガーイ!」
「俺?!?!」
結局、ゴムが通せたのはそれから約45分程後のこと。
子どもが初めて自転車乗れたみたいな拍手をされ、照れてる22歳。なんでやねん。
「Aちゃんさ、家庭科の成績はもしかして...」
「アヒルマークだったよ?」
あ、やっぱり。
大学では美人で勉強も出来て、さらに多国語が話せるバイリンガル。さらにさらに、それを活かして事業をしているとかで近寄り難いとか言われてたりするAちゃんの弱点を見つけれて少し嬉しいと思ったのはここだけの話。
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作者名:モスモス | 作成日時:2020年4月13日 0時