謎 ページ14
次の日、昼過ぎにオフィスに顔を出すと昨日の陽気はどこに行ったのか、死神のようなAちゃんがいた。顎をデスクに乗せて、猫背も猫背な姿勢でパソコン作業をしている。
いつもはイチゴオーレやタピオカなどの空が並んでいるデスク端は、ウコンパワー飲料が陳列していた。
「Nice guy?Do you remember yesterday?」
「いや、覚えてるけどさ?大丈夫?あんだけ飲んで」
「No...」
「だろうね。お大事に。ま、これからは教訓をいかすんだな」
「Yap...」
おいおい、大丈夫?自業自得とはいえど、ちょっと心配してしまう。福良さんが「何?何?何?」なんてニヤニヤしながら聞いてくるけど、別に何もない。
飲みに行っただけだ。
昨日のことをありのまま説明すると、「そりゃ御苦労さん」と言われた。
別に疲れてないんだけどなぁ。介抱したわけでもないし。
さ、俺もやるかなとパソコンを立ち上げたとき、トイレの方向から思いっきり嗚咽が聞こえた。
「オェエエエエエエエ!!!」
「え?!」
「ちょ!Aちゃん!?」
2人して駆け寄ると、トイレから出てきたのは『私、吐いたらスッキリしましたぁ』と顔に書いてあるニコニコの彼女。
「さ、編集しよーっと!福良さんも、ナイスガイも、何?作業戻りなさーい」
何この子。
2人して呆気にとられた。思わず吹き出して笑ってしまった。
「なんか、俺さぁ...」
ここまで女の子に振り回されて、それが嫌じゃなくて。もっと知りたいと思う感情、久々なのかもしれない。
「須貝さん?何?」
「ううん、なんでもない」
「ふーん」
デスクへ戻るとキーボードの下に紙切れ。
【昨日ありがとう】
乱雑な字。そして裏側にはマスキングテープで守礼門のお札(弐千円札)が。おいおい、お金をテープで貼っちゃいかんだろ!とそーっとそーっと外す。
Aちゃんの方をみると、さっきのウコンパワーの列の最後尾がイチゴオーレになっていた。
すっかり本調子のようでよかった。
「ねぇ、ナイスガイ?」
「ん?どうした?」
「またいこーねー?」
「そうだね。まぁ、調子がよろしいようで」
「Yap!!お陰様で」
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作者名:モスモス | 作成日時:2020年4月13日 0時