社交性 ページ13
元気いっぱい生中を注文したAちゃん。
何か食べる？と聞くが適当に頼んでおいてという。
小鉢を何品か店主に注文することにした。隣にはもうすでに何軒か飲み歩いてきたであろう中年のサラリーマンが。こういう立飲み屋だから絡んできそうだなぁと思っていたら案の定。
「いいねぇー、姉ちゃん！アベックでアバンチュールってか！ガハハ！」
「あ、あべ？く？」
「おう？アベックって言わないのか！今はなんだっけ？アモーレか！！」
「吉高部長、それ古いですって」
「ナイスガイ、アベックって何？」
「昔の流行語。カップルってこと」
「わぉ。それって私たちがカップルにみえたってこと？つまりПирошки с джемом？？」
「え？いや？なんて？」
「なーんでもございませーん」
悪戯っ子のような顔をみると、一時期に伊沢さんがよく「ロシア語の勉強しようかな」と言ってたことに共感してしまった。でも、ただ単にロシア語を勉強してもスラングや言事のような表現を使われていたらAちゃんの言ってることはわからないけども。
「なに？せっかく飲みに来たのに！ほら！食べようよ！」
「俺はいいけど、Aちゃんこそちゃんと食べなよ？みんな心配してるぞー」
「だぁいじょぶ！だぁいじょぶ！」
「ほんとかよ」
そのあとも、生ビールを2杯。小鉢をいくつか追加注文し、さらに冷酒を注文。さらにさらに、ハイボールも注文。さらにさらにさらに、また日本酒を注文した。そして、Aちゃんは出来上がった。大丈夫か？やめとけ？と何度も言うが止まらない。ザルなのか？
「じゃ、おじさん達の奢り酒にかんぱーーい！！」
このままだと本当の限界まで飲みそう。
思わず、サラリーマンのおじ様達に「すみません、これで帰ります」と挨拶してお会計をしておいた。
Aちゃんが冷酒をグビッと飲み干したところで、手を引いて帰るように促す。
「Увидимся〜！」(またね〜！)
ひらりと店に手を振るAちゃんはふらつきつつも歩けてる。めちゃくちゃ陽気。
この子、何杯飲んだ？イギリスの血筋？俺よりめちゃくちゃ強いじゃん。
「My house is across from it！」
「え？向かいのところなの？お家」
「Yah！だからここまでで大丈夫デス！今日は本当にTak！スパシーバーです〜」
「もう日本語おかしいよ。じゃあね。気をつけて。お休みなさい」
解散して後ろをみると鞄を遠心力に任せてブンブン振り回してた。パソコン入ってるんだぞー、その鞄。
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作者名：モスモス | 作成日時：2020年4月13日 0時
