貸切 ページ29
今日は珍しくAちゃんから呼び出しがあった。待ち合わせは以前にランチを食べたお店。またランチかと思うかもしれないが、ランチ営業後の待ち合わせだ。今は営業してないんじゃ...と思いながらも向かった。
到着すると店長さんと仲良さそうにテラス席でコーヒーを飲んでいた。
「須貝さーーん！こっち！こっち！Come here！」
「お待たせー、どうしたの？」
「うん、あのね！明後日からここのお店、着工するんだよね。だから、暫く休業になっちゃうの。で、お休み前にお礼にデザート作ってくださったの！だからね！はいはいはい、座って座って！食べましょー！Bon appetit！」
「え？いいんですか？僕まで？」
「構いませんよ。木苺ソースのティラミスです。お飲み物はどうしましょう？」
「じゃあ、お言葉に甘えて。同じのお願いします」
本業が立て込むって言ってたのはそのことか。なかなか大変そうだ。美味しいデザートに舌鼓しながら話を聞いていると、業者の手配もAちゃんがしていたらしい。着工中は放課後ほぼ毎日、こちらに顔を出すからオフィスはなかなか行けないと。そりゃ忙しくなるなぁ。
「あんまり無理しないでね」
「Tak.」
「だから夏休み最終日並みのハイペースで記事書いてたのか」
「まぁね！学生時代の夏休み最終日宿題処理の成果がこんなところに活かせるとは思ってなかったよ！」
「えぇ？嘘だろ？！あぁいうのは最初の3日くらいで終わらせて、残りの休暇を楽しむもんじゃないか」
「逆逆！！」
この時期のテラス席は気持ちよく、美味しいデザートも相まって楽しい時間を過ごせた。
「ご馳走様でしたー！じゃ店長！また明後日ね！」
「とても美味しかったです」
「リニューアルしたら、またいらしてくださいね」
店長さんに見送られ、駅の方面へ2人並んで歩く。道中、気になっていたので尋ねてみることにした。
「ねぇ、なんで俺を呼んだの？」
「んー？須貝さんがあのお店教えてくれたでしょ？だからだよ。ほら、新郎新婦が友人の紹介で出会ったなら、その友人は呼ぶでしょ？そういうもんよ」
「…成程」
「ね？…楽しかったね！！またリニューアルしたら行きましょ！」
「そうだなぁ。楽しみにしとくよ」
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作者名：モスモス | 作成日時：2020年4月13日 0時
