饂飩 ページ27
某有名うどんチェーン店では、まずトレーを取ってメニューをオーダーする。それから、すぐに出されるうどん鉢をトレーに乗せて進む。レーンには天ぷらなどの揚げ物やおにぎりなどが並んでおり、お好みのものを其々に取っていく。そして、お会計。
何ら普遍的である。
しかし、僕の後ろにいるAちゃんはレーンの序盤で固まっている。
「…おーーい。Aちゃーん？？」
「 進んでー？僕と山本さん進めませんってー」
Aちゃんが行列を作りかねないと思っていると進み出した。恐る恐る天ぷらをいくつか取って、トレーを進めてきた。僕らの0.25倍速くらいのスピードだと思う。
お会計を済ませ、先に適当な4人掛けの席に着いて待っていると３人が騒がしくやってきた。
「Aちゃん来たの初めてですってー！」
「ここ美味しいよー？僕、好きなんだよねぇ。ちなみに、うどんって漢字で書けるよー！部首は食編！」
「Спасибо что учите меня！！Пришел впервые！Это хорошее место！！！」
「え？？？？」
「デタァ！ロシア語ォ！」
「僕、理系なのでこうちゃんパース」
「無理無理無理無理無理無理無理無理無理」
「…こんな素敵なところ！連れてきてくれてありがとうございますね！！...何がすごいかって！！めちゃくちゃ提供時間が早い！！しかも！！安い！美味しい！今度、daddyとくるね！！！間違いなく感動すると思うの！！あぁ、なんで私は知らなかったんだろう！！来たことなかったんだろう！人生かなり損しようとしていた！ねね、薬味がFREEなのも最高！好き嫌いが分かれるじゃない？でも、FREEなら各々が好きな量入れれますし！！ネギなんて、「硫化アリル」が殺菌作用、疲労回復、血流促進、免疫力向上などに効果があるし、生姜の「シオネール」なんて食欲増進効果があるし、是非とも摂取していただきたいところなんだけどね。...天カスは知らない。ちなみにだけど、シオネールの化学式は「C10H18O」です。硫化アリルはねぇ...
「C6H10Sでしょ？」
「さすがナイスガーイ！」
まさかうどん屋でこんな喜んでもらえるとは思わなかった。余程美味しかったようだ。
「Aちゃん、喋ってばかりいるとうどん伸びちゃうよ？」
「やまもち！早めにいってよー！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 114人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：モスモス | 作成日時：2020年4月13日 0時
