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ジェム王国
地下牢
「ここで大人しくしていろ！」
そう言って牢屋に入れられた赤髪海賊団。
湿った空気の地下牢には、幸か不幸か、見張り1人いなかった。
「しっかし、カビくせえな」
「おーいお頭、見張りもいねえしこれ外していいか？」
ルゥはそう言って手錠のついた手首を振って見せた。
「おう！いいぞ！」
言った瞬間、揃いも揃って手錠を引きちぎった。
「あれ、」
「うお、」
思ったより脆いな。全員がそう思った。
そこへ、1人の男が現れた。
「よお、海賊共」
鉄格子の向こうで煙草を加えながらサングラスをずらしたその男に見覚えがあった。
「あ！昼間のクソ神父じゃねえか！」
「クソは余計だクソ海賊！」
やっぱりコイツ口悪ぃな、とヤソップが苦笑いした。
「ま、用があるのはお前らにじゃねえ」
そこにいるジジイにだよ。そう言って顎でシャンクスの後ろを指した神父。
振り返るとそこには、40歳半ば頃に見える長髪の男がいた。
「っていつからいたんだオッサン！！」
「3年前からですが…」
どうも、と長髪の男はぺこりとお辞儀をした。
「ハハッ、相変わらず随分と腰が低いなトレゾール」
「クソ神父様は相変わらず口が悪いですね」
「だからクソは余計だっつってんだろォが！」
その会話を聞いていたベックは、ギョッとした。
「…トレゾールって、あの酒場の店主が言っていた、」
「「「元国王じゃねえか！！」」」
赤髪海賊団が口を揃えて叫ぶと、シャンクスが納得したように笑った。
「そっか！オッサン…トレゾールさんは王女Aを連れ出して2日後には処刑だったか！奇遇だな！俺達も2日後には処刑されるらしい！」
だっはっは、と豪快に笑ったシャンクスに笑い事じゃねえとベックが拳骨を落とす。
「手錠も外してしまって、処刑されるには見えませんが…」
「まあされる気はないからな。俺たちを処刑なんざ出来ねえだろうし」
「お頭は黙っててくれ、話がややこしくなる」
ベックが鉄格子越しに神父に向き合った。
「そもそもだ。神父サマよお、何であんたが城の地下牢にいるんだ？思っていたが、この国はなんだかきな臭え」
「…まあ、間違っちゃいねえな」
神父が加えていた煙草を足元に捨てる。そして口を開いた。
「そうだな、まずはこれだけ言っておこう」
悪ぃな、あんたらを通報したのは俺だ。
「はあ？！」
ホンゴウが声を荒らげた。
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作者名：酒粕 | 作成日時：2022年8月18日 1時
