275話 ページ33
五｢もうこれ以上誰かの為に傷付くのは見たくない。僕がいないところでこんなになるまで傷付いて苦しんでいる所を見るのはもう懲り懲りなんだ。
僕が守れなかった落ち度があるにしても、僕もAも特級呪術師だから一緒に居れる時間なんて限られてるしそもそも同じ任務に当たることなんて有り得ないんだ。｣
私の溢れてくる涙を拭いながら言葉を綴った。
五｢これは僕のエゴだし我儘だ。だからAが嫌なら嫌ってハッキリ言って欲しい。｣
ふぅ、と一つ息を吐いて私の目を見て言った。
五｢術式は戻す。けどもう呪術師として活動しないで欲しい。僕に護らせて欲しい。ずっと僕の傍に居て欲しい。もし術式を戻したとしても隠して生きて欲しい。｣
『《…………わかった。》』
出会った時は私の方が実力は上で、悟くんは後輩だった。
次第に悟くんは強くなって私を追い越してしまった。
それでも私は悟くんの隣で一緒に戦いたくて辞めた呪詛師殺しも再開した。
常に同等が良かった。
最強と謳われる悟くんと並んでも遜色ない、まるで傑の様に背中を預けて戦ってくれるような呪術師を目指した。
それらを全て捨てると言うのはあまりに苦しい事だと思う。
でも、今までしてきた努力が報われなかった訳じゃない。救えた命も沢山ある。けれどもしかしたら奪った数の方が多いかもしれない。
これは今まで私が重ねた罪の重さなんだと思うと踏ん切りもつく。
五｢いいの？｣
『《うん。術式は戻して欲しい。でももう戦わない。術式を戻すのはあくまで自己防衛ともしもの時戦えるように。これから私の生徒になる子達を守れるようにしたいの。》』
五｢わかった。でもAは僕が守るから。｣
『《ありがとう。》』
悟くんに守るものが増えるというのは弱点が増えるということ。
ましてや術式が使えなくなった恋人なんて格好の的。
でも、それでも、悟くんが望むことなら私はなんでもしたい。
悟くんの願いを叶えたい。
『ありがとう、』
五｢僕の方こそ。｣
私の頬を滑っていた手が離れてぎゅっと両腕の中に閉じ込められた。
五｢赦してくれてありがとう。｣
悟くんの背中に手を回して震える手でぎゅっと服を握った。
『わたしの、方こそ』
ありがとう、という言葉は涙と共に喉から出た嗚咽で消えてしまった。
五｢愛してるよ。心の底から、誰よりも。｣
そう言って悟くんは更に強く腕に力を込めた。
．
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2637人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
華渚(プロフ) - 夜一さん» ありがとう夜一さん！笑是非お時間あれば、読み返して暇を潰してくださいな笑 (2021年4月24日 8時) (
レス) id: c7e672e97b (このIDを非表示/違反報告)
夜一(プロフ) - 1人暮らしおめでとう華渚さん！！笑笑ゴールデンウィークの間にパンピー読み直そうかな。更新楽しみにしてまーす！！ (2021年4月24日 8時) (レス) id: 9c7154762c (このIDを非表示/違反報告)
華渚(プロフ) - nekoさん» ありがとうございます！！更新しない間、前作今作読み返して暇を潰して頂けるととてもとても嬉しいです！なるべく早く復帰出来るように片付け頑張ります！！ (2021年4月20日 10時) (レス) id: c7e672e97b (このIDを非表示/違反報告)
neko(プロフ) - 初コメント失礼します。前作も含め華渚さんの小説が大好きでいつも開く度にわくわくドキドキしています！新生活大変だと思いますが応援しながら更新も楽しみにしています(^O^) (2021年4月20日 9時) (レス) id: be50ebfe24 (このIDを非表示/違反報告)
華渚(プロフ) - とことんさん» 泣きそうありがとう……泣 (2021年4月20日 9時) (レス) id: c7e672e97b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：華渚
| 作成日時：2021年3月12日 19時
