274話 ページ32
『《そんなこと、》』
五「そんなことあるから言ってる。」
少し距離を持って座っていた悟くんは私の隣にピッタリと座った。
五「僕はAと別れたいなんて思ってない。僕はどんな形でもAが隣に居てくれればそれで生きていける。」
『《でも、私はもう呪術師としても悟くんと一緒に戦えない》』
五「呪術師とかそんなの関係ないよ。呪術師以前に僕は男としてAの事が好きなんだ。」
『《っ、女としても……他の人にっ、》』
五「他の人にどれだけ汚されたとかどれだけ抱かれたとか関係ないって、言ったよ。そんなの気にしてたら僕ら付き合えてないでしょ?」
『《それとこれとは話が、》』
五「一緒。もう自分を卑下するのはやめて。僕が大事に思ってるAさんを本人がそんな風に思ってるなんて悲しいよ。」
『《ごめんなさい、》』
五「もう謝るのも禁止〜。」
『《っごめ、》』
五「次それ言ったらちゅーする。」
『《…………》』
五「えぇ、それはそれで悲しい。」
私の手に重ねていた手が私の頬を滑る涙を拭った。
五「僕の気持ちはこんな感じだけど、Aさんはどう?僕とはもう別れたい?」
ううん、と首を横に振った。
五「ならこの話はもう解決。僕はもうAさんのこと手放すなんてできないんだから、捨てられるなんて思わないで。」
『《うん、》』
五「それじゃあ、術式の話なんだけどね。」
そう言うと悟くんはポケットの中から1枚の呪符を取り出した。
五「結果的に言うと奪われた術式は戻せる。」
『《本当っ!?》』
五「うん、ホント。でも、1度体から離れてしまった術式をもう一度体に戻すなんて事前代未聞だから、当たり前だけど前例がない。もしかしたら器が壊れてしまう可能性だってある。」
『《……うん》』
五「拒否反応が出るかもしれない。術式が戻るだけで暴走し出すかもしれない。未知なんだ。僕でもこればっかりはやってみないとわからない。」
『《うん、》』
五「どうしたい?戻したい?」
『《っ……わからない》』
どうするのが正解なのか、わからない。
不確定要素の多い行為をして、私は無事なのか。私を許してくれた悟くんを1人にさせる様な事にならないのか。
悟くんすらわからない事が私に分かるはずもない。
五「もし、術式を戻して欲しいなら戻そうと思う。けど、僕はもうAさんに呪術師として活動して欲しくない。」
『《え?》』
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華渚(プロフ) - 夜一さん» ありがとう夜一さん!笑是非お時間あれば、読み返して暇を潰してくださいな笑 (2021年4月24日 8時) (レス) id: c7e672e97b (このIDを非表示/違反報告)
夜一(プロフ) - 1人暮らしおめでとう華渚さん!!笑笑ゴールデンウィークの間にパンピー読み直そうかな。更新楽しみにしてまーす!! (2021年4月24日 8時) (レス) id: 9c7154762c (このIDを非表示/違反報告)
華渚(プロフ) - nekoさん» ありがとうございます!!更新しない間、前作今作読み返して暇を潰して頂けるととてもとても嬉しいです!なるべく早く復帰出来るように片付け頑張ります!! (2021年4月20日 10時) (レス) id: c7e672e97b (このIDを非表示/違反報告)
neko(プロフ) - 初コメント失礼します。前作も含め華渚さんの小説が大好きでいつも開く度にわくわくドキドキしています!新生活大変だと思いますが応援しながら更新も楽しみにしています(^O^) (2021年4月20日 9時) (レス) id: be50ebfe24 (このIDを非表示/違反報告)
華渚(プロフ) - とことんさん» 泣きそうありがとう……泣 (2021年4月20日 9時) (レス) id: c7e672e97b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:華渚 | 作成日時:2021年3月12日 19時