ふたりばなし2 (ページ2)

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負けた試合の、その夜だった。

深夜の2時ごろにピコンとLINEを知らせる音がした。

普段はそんな小さな音では起きないけど、その日はそれがすぐに聞こえた。

画面のロックを解除して通知を見るとAからで

ー「破水した。これから病院。」

と一言のみ。

その直後、Aからの着信があった。

「A？！」
「あ、Aの母です。夜中にごめんなさい、寝てたでしょ。」
「いいえ、大丈夫です。」
「今ちょうど病院に着いて陣痛の間隔を測ってるところで、まだまだ時間はかかりそうよ。気は落ち着かないだろうけど、遥輝くんまだ安心してね。あ、Aが話あるみたい。」
「え、あ、はい」
「あーもしもし遥輝さん？」
「いやお前破水って、その、何なん？それ？！」
「てか寝てないの？！寝なよ！すぐ既読ついたからビックリしたんだけど！」
「いや、こんなとき寝てられる父親がいるかよ。」
「あー。父親ね(笑)」
「何のんきにわろてんねん。」
「いやー、頼もしいなって。まだまだ時間かかりそうだから、明日のデイゲーム陣痛で苦しみながら見るよ。活躍してね。」
「・・・おう」
「それから、私のことは考えないで今遥輝がしないといけないこと、優先してね。赤ちゃんのことは任せて。お母さんも安産だったみたいだから、大丈夫だよ。」
「・・おう。」
「おやすみ、遥輝。」
「おやすみ、次会うの楽しみにしてる。」

次会うとき、それはもう我が子との対面もさすわけで。

「あー・・・負けたからってクヨクヨしてたらAにバカにされるなー」

独り言を呟いてから眠りについた。