31.監督さん ページ31
「栗さん、卓来ましたよ。」
球団社員に連れられて監督がいるベンチ裏にAを連れてやってきた。
「おお、卓!
・・・そしてAさんだね。」
「は、はじめまして。Aです。」
みたことのない緊張の面持ちをしたAだったが、その緊張は監督の次の一言で一気に和らいだ。
「いや〜おめでとう!卓がいい人を見つけてくれて嬉しいよ!Aさん!これからも宜しくね!!!」
あっけらかんとはこのことを言うのか、Aはポカーンとして
「え、なんか反対とかされるかと・・・」
「反対?!とんでもないよ!俺は結婚未だに出来てないからね〜・・・卓が羨ましい!!!」
安堵の表情を見せたAに俺もほっとした。
軽く挨拶を済ませたあと、そこから練習の準備をする。
「はあ〜・・・第一難関クリアした・・・」
「第一難関って?」
「だって、今日は監督さんに挨拶と卓のご両親に挨拶でしょ?緊張するじゃない。」
「そんなん気にせんでよか〜俺の親なんて全然大丈夫やけん」
「大丈夫じゃないよ・・・」
「Aのことは話してあるけん、心配せんで。」
「・・・じゃあ卓、今日はホームラン打ってね。」
「はあ?!お前、バカにしたっちゃろ。」
「してない。卓がホームラン打ったら安心する〜!」
「俺も卓がホームラン打ったら安心する〜〜!」
「・・・おい!!!鍵谷!!!!」
Aに並んでからかってきた鍵谷は今度飯でもおごらせよう。
その試合、俺はプロ野球人生初のホームランを打った。
ダイヤモンドを回りながら、Aのことと、自分のこれからのことを凄く考えた。
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作者名:ずゅん | 作成日時:2017年9月9日 0時