ありきたりじゃない恋 (ページ29)

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29.どうしてページ29

警備員から手を離されたあとは、柳田、という人の後ろをついていく。

この人はファイターズの人なのだろうか。それすらも分からなかった。

「君は本当にファンの子なの？」

「あ、いえ、あの、」

「あ～中島卓也の彼女なんだ。」

「どっっ！どうして！」

「うん、分かりやすい、いいこやね。」

頭をポンポンされる。

手がとてもおっきかった。

「先にロッカー寄っていい？」

「あ、はい。」

「そのあとちゃんとファイターズ側に送るわ。」

「え、あの、ファイターズの人じゃないですか？」

「え？！ｗ俺ホークスだけど、知らない？」

「ご、ごめんなさい・・・詳しくなくて・・・」

失礼なことを聞いてしまったと落ち込んでいたら、ロッカー室にちょどついた。

「えーーーー！！ギータが女の子と同伴できたーーーー！！！！」

誰かの大きな声で、ロッカー室からたくさんの男の人が私を見た。

「ほんまに？！」

「え、かのじょ？！」

わあああっと、思わず圧倒されていると、

「かわいいやろ？俺の彼女のミホちゃん。」

と柳田さんに肩を組まれる。

反射的に振り払ってしまい、

「ミホちゃんって誰ですか！私はAです！それにあなたの彼女じゃありません！」

と大きめな声で言ってしまった。

「あっはははははははははは！！！！」

柳田さんは大笑いして、周りの方々は「？」と不思議そうな顔をした。

「いや～ごめんごめん。この子はファイターズの中島の彼女らしくて、警備員にとっ捕まえられてたから助けてきただけ！まさかそんなに全力で拒否られると思ってなかったわ！最高だねAちゃん。」

「うちの柳田がすまなかった。」

ヘラヘラしている柳田さんに対し、もう一人の人は頭を下げてあやまってくれた。

「いえ・・・わたしこそ、大きな声出してしまってすみませんでした。本当に、試合前の大事な時間でしたのに、ご迷惑をかけてしまっている身分で・・・。」

今は試合前で、目の前にいる皆さんも練習着？のような服装でいるのに、私がちゃんとしていないがために・・・

「本当に申し訳ありませんでした。」

「いや、Aちゃんきにしないで。俺が好きでやっただけじゃ。」

「でも・・・」

「中島こんないい彼女いんのかよ。」

「な～そう思うよな～！」

「ギータ、早くおくってこい。」

「はいよ～。じゃあAちゃんいこ。」

最後に改めて皆さんにお辞儀をしてその場を離れた。

「大変お騒がせしました。」

「気にせんでね～！」

「今日はホークス応援してね～。」

ホークスはいい人が多いね。