ありきたりじゃない恋 (ページ27)

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27.第２の父へページ27

コンコン

「はいどうぞー」

「失礼します。」

「ん？卓か。どうした？」

「監督に婚約したことを報告しに来ました。」

「婚約？」

「はい。一般の女性なのですが、先日プロポーズをしまして、快諾頂きました。」

練習前、監督室へ向かいすぐさま報告をした。

「球団には？」

「まだです。」

「俺が一番最初？」

「はい。」

さっきまで真顔で神妙な面持ちだった栗山監督は俺の前まで来て、

「なんだよ、卓！嬉しいよ～！！」

とニコニコ笑ってくれた。

「もう第2の父さんみたいなもんですから。」

「そうか！よかったよかった！どんな子なんだ？」

「芯のある、真面目な子です。」

「・・・うん、卓にピッタリだな。」

肩をポンと叩かれ、

「結婚すると守るものが増える。守るものが増えると、プレーにも自ずといいものが出てくる。これからも頑張ろうな、卓。」

「はい！よろしくお願いします！」

どんなに不振なときでも、周りから批判があっても俺を信じ続け使ってくれた栗山監督は、監督でもあり野球の父のような存在だったから一番に報告したかった。

監督室を出て練習に行く前、Aに電話をした。

「次の福岡遠征、一緒に来て俺の親に会ってくれん？」

ー「え、いつ？」

「今月の末なんやけど」

ー「平日？」

「いや、土日。金曜試合終わってから行って月曜に札幌戻る予定。」

ー「・・・上司に相談してみるね。結婚のことも、話さないとならないし。」

「そうやね。あと引っ越しもせん？物件探しておいて欲しい。」

ー「う、うん。分かった。また次会うときに話そ？」

「うん。じゃ、練習行ってくる。」

ー「頑張ってね」

「好きっちゃ」

ー「わ、わ、わたしも！」

Aががんばれって言うたびに体の真ん中から沸き上がってくるパワーに思わずにやけていると、

「え、卓さん何ニヤニヤしてんすか。」

クソガキ翔平め。