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21.先輩の背中 ページ21

卓さんのいる店へ向かう数分間、Aちゃんと話させてもらった。


「なあ、ラブレター書いたってほんまなん?」

「あ〜。やっぱり知ってますよね。」

「卓さん分かりやすくてついつい根掘り葉掘り聞いてしもた」

「いや、いいんです。本当なので。」





普通に知り合ってたら、俺でも好きになるかも、と思うくらい雰囲気から育ちのよさを感じられる。


仕事終わりだったとだけあり、ジャケットを着ていたりヒールだったり、いわゆる「デキる女」。今話題のキャリアウーマンっちゅーの?



「Aちゃん、いくつなん?」

「24、ですね。」

「お〜一個下なんや。慎吾とは偉い差や。」

「ジャイアンにトレードの・・・」

「ジャイアンツな。」

「卓も仲良しだと聞きました。」

「そうやで。」



運転をしとるから前を向きながらになるのに、俺が話すとこっちを見てることが分かったり、通った鼻筋のお陰で美人さが増しているところも、「あー、これ卓さん好きなタイプやー!」って思うところがたくさんある。



案の定、ナンパ事件を話したら焦ってる卓さんとしょんぼりするAちゃん。


うん、お似合いだな。



帰りの車、卓さんとAちゃん乗せて俺が運転してた。

後部座席では卓さんの肩に寄りかかって寝るAちゃんがいた。



「遥輝、今日はありがとな。」

「いいんすよ。にしても可愛さ自覚無だと、苦労しますね。」

「そんなんよ。ほんと、仕事も真面目にやっとるみたいやし、俺からはなんも言えんけどな。」



バックミラー越しの卓さんは本当に男前だった。



「卓さんの家だけでいいっすか。」

「あ、いいよ。」



あー、きっと卓さんはこの子と結婚すんねやろなー。って、珍しく勘がさえた。



「襲ったらアカンですよ、卓さん。」

「うるせ。」

「またAちゃんも一緒に飯行きましょう!」

「そうやね。送ってくれてサンキュ。」



Aちゃんを抱き抱えてマンションに入る後ろ姿はいつもより大きく見えた。

気がしないでもない。

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作者名:ずゅん | 作成日時:2017年9月9日 0時

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