11.なみだ ページ11
「交際を前提にお友達になってくれませんか」
その一言が頭のなかを反芻する。
え、この目の前にいるのは中島選手?
わたしに交際を前提にって言った?
頭さげられてる?
今どういう状況なの?
ここはどこ?
人生でここまでテンパることは無かった。
「え?!大丈夫と?!?」
目の前で手をヒラヒラさせる中島選手は間違いなく目の前にいて、私のことを見てる。
「いや、だって、あの」
「うん、泣かんで?」
「だって、わたし」
あれ?おかしいな。
これって嬉し涙かな。
「びっくりして、あの」
「うん」
「私そもそも野球知らないし」
「そうやったね」
「ただ本当に一目惚れで」
「うん」
私の目を見て私の話を聞いてくれるのは、
あの日に、一か八か届かないでくれ!でも気持ち届けたい!と悩みに悩んで送った手紙の相手で
若干ポエムみたいになった手紙もどうせ見られないだろうって思ってたのに
「もう、あの手紙見てからAさんのこと気になって仕方なかったんよ」
「よ、読まれないかと思って、」
「ちゃんと読んだけん、今ここにおると」
「わ、わたし、ファンですし、」
「関係なか」
そして中島選手はわたしにこう言ったの。
一生忘れない。
「俺のこと、もっと知って、もっと好きになって。そしたら一生守るけん。」
もうこんなに好きなのにこれ以上どこを好きになればいいのかな。
これ以上好きになって、どうにかなっても知らないから。
そんなこと思いながら涙が止まらなかった。
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作者名:ずゅん | 作成日時:2017年9月9日 0時