ありきたりじゃない恋 (ページ1)

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1.ファンレターページ1

「中島さ～ん。ファンレター、ここにおいておきます。処分するものはいつも通り箱に戻しておいてくださ～い。」

「はい、ありがとうございます。」

彼氏にしたい選手権とやらに自分が選ばれてから、毎月ファンレターというものが増えていく。

野球に集中をしたい俺からすると、あまりもの量に目を通すのがとてもじゃないけど間に合わないし、大体球団の人にお願いをして、目を通して貰っている。

箱に入れて持ってきて貰って、そのまま箱に入れておいたまま戻すのがいつも通りだけど、その日は前日にエラーも起こしていて全打席三振と、満足のいくものにはならなかった。

誰でも良いから励まして欲しい、まさにファンにもすがる思いだった。

箱を覗くと、きっと女子高生が多いのだろう。
可愛いキャラクターものの便箋や、俺の写真を切り貼りした封筒など、女子っぽいものが多かった。

内容は「いつも応援してます」的なものが多かった。

たった一つを覗いて。

淡い黄色のような封筒のなかにはポストカードが入っていて、そこにはメッセージが書かれていた。

ーーー中島卓也さんへ
きっとファンレターの一部として、
あなたに読まれることがないのですから、
私の想いを素直に書きます。

恋をしてしまいました。

野球のことは全然詳しくありません。
中島選手が凄いプレーヤーなのかどうか、
素人には分かりません。

でもなんでか、わからないけど、
あなたのことが好きです。

このまま一生関わることはないと思います。
でもこのまま好きでいることをどうか
気持ち悪がらずに許してください。

この手紙が読まれることありませんように。

ーーーAより。