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私たちが目を覚ましたのは、約三時間後、夕方だった。
金色の室内が窓から差し込む夕日でオレンジ色に光っている。
オレンジ色の室内で、三人でソファに座りながらローテーブルの上の輝石の国の観光雑誌を囲んで、今後の予定について話していた。
｢あ、花の街は行きたいなぁ…。いつかの交流会で行った時、なんだかんだ楽しかったし｣
｢花の街は観光名所で人も宿も多いし、いいんじゃないか？
レオナ先輩はどう思いますか？｣
｢別にいいぜ。けど、輝石の国は夕焼けの草原と陸続きだからな。あまり長居はしたくない。
花の街を通って、ここから海に出るつもりなんだが、ジャック、ここら辺の宿は分かるか？｣
｢あー、すみません、あんま分かんないです。
けど、そこら辺は田舎の港町って感じなんで、多分宿とかはほとんどないんじゃないですかね｣
あれやこれやと話し合って、旅の行方を決めていく。
ここでもやはり、土地勘がさっぱり無い私は全く役に立たない。
私は逃亡経路の確認とかは全て二人に任せて、手持ち無沙汰に窓の外に輝く夕日を眺める。
輝石の国でも夕日は夕焼けの草原と同じ色なんだな、とぼんやり思った。
夕日を眺めながら、ふと考える。
輝石の国での旅程は決まっても、その先、この旅がどれだけ続くのかは分からない。
これから輝石の国を出て、珊瑚の海に行って、薔薇の国に行って、賢者の島も行って………それで？
次はどこに向かえばいいのだろう。
夕焼けの草原に戻るのか。
もし、どこにも戻れないとしたら。
私たちが行き着くのは、もしかしたら波の底かもしれない。
そう気づいた瞬間、漠然と胸の奥に冷たい物を流し込まれたような感覚に陥る。
そうなった時、自分の魂はどこに帰るのだろう。
元の世界か、それとも、この捻れた世界か。
元の世界に帰りたいと考えてしまって、はっとする。
必ずいつかは帰れると、先輩と付き合ってても尚信じていた自分に気づいてしまった。
今まで考えもしなかった問題が、目の前を覆って動けなくなる。
暗い。
何も見えない。
どうしよう。
ふと、暗闇の中で、優しく私の手を包む感覚。
その感覚を頼りに、意識を上に向けると、目の前にペリドットが輝いていた。
｢どうかしたか｣
｢……なんでもないです｣
気遣わしげにかけられた言葉に、なんとなくそう返す。
優しく伝わる手のひらの熱が無ければ、また沈んでしまいそうだった。
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zuuu(プロフ) - 青天の霹靂さん» コメントありがとうございます！！今回は表現に凝ろうと思って書いていたので、そう言って貰えると本当に嬉しくて、すごく励みになります！！！！ (12月2日 10時) (
レス) id: 1f6392111c (このIDを非表示/違反報告)
青天の霹靂 - うわお…文章の書き方がとてもタイプです！！表現も、滅茶苦茶素敵で…どうなるかこれから楽しみです！お身体に気をつけて、更新待ってます！ (11月30日 23時) (レス) id: 1bafc3cd7d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：zuuu | 作成日時：2023年11月30日 23時
