青春めると (ページ2)

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ピアスページ2

「穴、増やそうかな」

　12時20分、寮生で賑わう食堂でシュンタがぽつりと呟く。
　今日の昼食であるサラダうどんを啜り飲み込んでからシンヤは箸を持ったままシュンタの方を向いた。
　最近ツーブロックにして見やすくなった左耳のシュンタお気に入りのシルバーのリングピアスがきらりと光っている。

「穴、左耳だけだっけか」

「うん」

「次どこにすんの？」

　シュンタは耳全体を指で優しくなぞると、とある一点で動きを止めた。場所を文字にするなら、耳に近しいもみあげの下辺り。

「ここ。トラガスっていうんだけど」

「ここ？」

　シンヤがシュンタの指していた場所にそっと触れると「そう」と短く返ってくる。
　現状左耳に一箇所のみしか穴がないので次に開けるのなら右耳じゃないのか、とシンヤは思ったがアクセサリーには詳しくないので黙っておいた。

　シンヤが手を離せばシュンタは首を曲げ目を合わせてきて視線で意見を求めてくる。

「いいと思う、けど」

「けど？」

「……痛くね？」

　返答に数秒の間の後「痛い」とシュンタは頷く。
　それがまるで合図かのように、シンヤはまたうどんに箸を伸ばしシュンタはお茶の入ったコップを手にした。

「考え直すわ」

「なら土曜日ピアス見に行くか」

「行く。俺に合うの選んで」