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「前、ケイタから超面白い動画見せてもらったんだよ」






 スマホを弄りながら口角を上げているリョウヤが言う。
 先生が休みだからと急遽自習になった3限目。テスト前だというのに勉強している生徒は誰もいない。シンヤにシュンタ、リョウヤも例外ではない。ちなみにケイタは今トイレに行っている。






「なんだっけなー」

「YouT◯be?」

「いや、Twi◯ter」






 ふうん、といちごオレをストローで吸いながら興味なさげにシュンタは流す。
 その後しばらくスマホをスクロールしていたリョウヤだったが結局見つからなかったらしく音を立ててスマホを机に伏せる。






「やべえ、めっちゃ見せたい」






 ふと辺りを見回したリョウヤは机の上にケイタのスマホが置いてあることに気がついた。






「なんだ、ケイタのスマホあんじゃん」

「え?」






 ひょいとケイタのスマホを手に取ったリョウヤにシンヤとシュンタは顔を見合わせる。スマホにはロックがかかってあるはずだ、開けられるはずがない。
 そう思ったのも束の間「ほら見ろよ!」とリョウヤはケイタのスマホを見せびらかしてきた。

 リツイート数がえげつない動画が流れているがそれよりもまず気になることが大きすぎたので「いやいやいや!」とシンヤはツッコむ。






「この動画やばいよな!ほんとにいやいやいや!ってなる……」

「そうじゃねえよ!動画よりお前の方がいやいやだわ!」

「俺?なんかあったか?」






 あのなあ、とシンヤが言いかけると「ただいまっ」とタイミングよくケイタが帰ってきた。平然とケイタのスマホを使っているリョウヤを眺めたケイタは






「その動画やべえよなー!」

「いやお前らのがやべえわ!!」






 と、結局シンヤのツッコミが炸裂するのだった。






「おいケイタ、パスワードちゃんとかけてるか!?」

「かけてるよ。リョウヤと俺しか知らない」

「それ、ちゃんとって言わないから!」

「大丈夫。俺もちゃんとケイタにパスワード教えてるから」






 「なんなんだお前ら……」と驚愕しているシンヤの横で、実はずっと一緒にいたせいでシンヤのスマホのパスワードを把握してしまっていたシュンタはそっと俯くのだった。

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作者名:ずずずん | 作成日時:2022年8月6日 19時

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