＊番外編（夏油傑の場合） ページ48
※本編とは少し異なってます
「あの、夏油くん」
「あぁ、八雲さんか。何か用かな？」
「げとーくん」
「A、挨拶代わりに前髪を触らないでくれ」
「傑ー」
「うわッ…はぁ、軽率に抱きつくなよ」
「傑？」
「…、いや、ごめんね。少し疲れてて、寝不足なんだ」
「…すぐ、る、」
「 」
私があの時あなたを救えていたのなら、今、あなたは傍に居てくれましたか。
もう目の前まで呪霊が来ていた。足は既に呪霊の腹の中だった。この状態では、動けない。
補助監督に連絡はつかなかった。上の連中に捨てられたのだと察した。そっか、悟を間接的に弱らせて、五条家の力を無くしてやろうって算段だったのか、そっか。私、利用されたんだ。ごめん、硝子。今週お出かけしようって言ったのに。ごめん、悟。きっとあなたはこれに負い目を感じるでしょ？だって、ホントは優しいんだもんね、悟は。傑にも、…あぁ、ねぇ、傑。
───…最期に、貴方に会いたかった
「八雲さん、ちょっとこれ頼んでいい？」
「うん、いいよ」
「…A、髪乾かしなよ」
「自然に身を委ねようと思って」
「A、悟どこ行ったか知ってるか！？」
「あー、なんかどっかトんでった」
「……Aか」
「…傑、お疲れ様」
離れたくなかった。でも、こちら側に来て欲しくもなかった。
強くならなければいけない。悟と対峙するのなら、強くならなくてはいけない。呪霊を調伏しようと山へ向かった。その事を、私は後悔した。
「…───A？」
あれはAと言えるのだろうか。四方八方に飛び散ったモノからそれをAと決めつけることは難しかった。それでも、直感がそう叫んでいた。ふと足元を見れば、切断された腕。そこに、見慣れた腕時計。
「はい、A」
「…なにこれ、なんか、高そう」
「高いよ。誕生日プレゼント」
彼女は、死んだのか。
もうあの柔らかい声で、私に応えることは、無いのか。いや、応えなくなったのは私か。
ねぇ、A。もしも許されたのなら、私は、私は。
───…もう一度、貴女に会いたかった。
「…A」
「なに？」
「びっ、くりした…驚かすなよ」
「え、てっきり私の名前呼んだから気付いてたのかと思ってた」
「いや、全く」
「ふーん」
「A」
「なあに、」
返事がある。
今、Aはここで、私に応えてくれている。
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あお - 間の開け方とか言葉選びとかすごい良かったです！！ (2022年8月28日 20時) (
レス) @page18 id: c1da01ed72 (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 呪術師側のイカれ具合とか、ヒーローに対する嫌悪とか、全て大好きです。 (2022年1月2日 15時) (レス) @page50 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
あかし - あくまで私個人の感想です。書き方やオチ希望してる方がいますがこれは作者様の作品です。書き方も展開も終わり方も全て作者様の自由です。私はこのままの作品が好きですし、作者様の自由にして下さい。言葉選び、文脈全てが大人で素敵です。これからも応援しています。 (2021年8月7日 14時) (レス) id: 9951821a6a (このIDを非表示/違反報告)
天宮 - 誰が喋っているのか聞いてくれないとわかりません。 (2021年6月28日 8時) (レス) id: 453c097156 (このIDを非表示/違反報告)
天宮 - 誰が喋っているのか聞いてくれないとわかりません。 (2021年6月28日 8時) (レス) id: 453c097156 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ずんだもち | 作成日時：2021年2月11日 11時
