わからない ページ31
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「虎杖！アンタもっと飛ばしなさいよ！」
「捕まっちゃうから俺！」
「虎杖、赤」
テレビで五条を見かけた釘崎、虎杖、伏黒は慌てて車に乗り込み会場へ急いだ。
中継を繋ぎ、車内で彼らの様子を見ていたのだが、注意散漫になっている虎杖のおかげで伏黒は全く集中出来なかった。
「やっぱ、なーんか見たことあるんだよな。五条先生と一緒にいるやつ。誰だっけ？」
虎杖は高校生になるまで無個性だった。
加えて、前世の記憶など持ち合わせていなかった。
虎杖は他の呪術師とは違って元は非術師であった。
呪術師になったあの日を境に、虎杖の身体に大量の記憶が流れ込んだ。
伏黒は、釘崎は、ナナミンは、五条先生は？彼らはどうなった？あの後、どうなった？？
居てもたってもいられなくなった虎杖は夜蛾に連絡を取り会いに行った。そこで伏黒、釘崎といった旧友と再会した。
しかし、やはり、どこかで見たことがある。
虎杖の思考は完全にその男へと向かってしまった。
伏黒は大きなため息をついた。
言うべきか、言わないべきか迷っていた。だが命の手綱を握っている男の意識がそちらを向いてしまっているのなら、仕方がない。
「…はぁ。アイツは、夏油傑だ」
「げ、とう…って、あの、呪詛師の？」
「じゅそ…ッ！…待てよ、俺、ちょっとバトった気ぃする」
「バトってたな」
「伏黒、なんでもっと早く言わないのよ！」
「……いや、だって、信じられねぇだろ」
五条先生が、呪詛師といるんだぞ。
その事実は、騒がしかった彼らを黙らすのには十分すぎた。
夏油にとって五条は宿敵で、五条にとっても夏油は宿敵だったはずだ。
最強の呪術師と、最悪の呪詛師。
仲がいいはずがないだろう。
「…五条先生ってさ、ずっと、よく分かんねぇんだよな」
虎杖は遠い記憶にある五条の姿を思い浮かべていた。
少し適当で、ちょっと強引な性格だった。クズと周りに言われていたのも理解ができてしまった。
それでも間違いなく自分を育てあげてくれた。
善い人ではなかったけど、良い人だった。
でも、分からなかった。
いつも飄々としていた。時折見せる冷たさに身体が震えた。
家入さんと同級生で、甘党で、最強で、それで、それで？
「俺らを、どう視てたんだろ」
「…そりゃ、生徒、でしょ」
「…あぁ、だろうな」
きっと、仲間では、なかった。
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あお - 間の開け方とか言葉選びとかすごい良かったです！！ (2022年8月28日 20時) (
レス) @page18 id: c1da01ed72 (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 呪術師側のイカれ具合とか、ヒーローに対する嫌悪とか、全て大好きです。 (2022年1月2日 15時) (レス) @page50 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
あかし - あくまで私個人の感想です。書き方やオチ希望してる方がいますがこれは作者様の作品です。書き方も展開も終わり方も全て作者様の自由です。私はこのままの作品が好きですし、作者様の自由にして下さい。言葉選び、文脈全てが大人で素敵です。これからも応援しています。 (2021年8月7日 14時) (レス) id: 9951821a6a (このIDを非表示/違反報告)
天宮 - 誰が喋っているのか聞いてくれないとわかりません。 (2021年6月28日 8時) (レス) id: 453c097156 (このIDを非表示/違反報告)
天宮 - 誰が喋っているのか聞いてくれないとわかりません。 (2021年6月28日 8時) (レス) id: 453c097156 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ずんだもち | 作成日時：2021年2月11日 11時
