･ ページ4
世界総人口の約八割が超常能力“個性”を持つに至った超人社会。
ヒーローと人々に慕われ、讃えられる彼らは、“個性”を悪用するヴィランと呼ばれる敵を“個性”を発揮し、取り締まる存在であった。
英雄。その言葉が似合う職業だった。
一方の彼ら、呪術師であった彼らにヒーローは向かない。
あまりにも、眩しすぎた。
目の前にある命すらも救うことの出来ない呪術師。
でも、それでも。
彼らは、呪術師であることに誇りを持っていた。
「メグミとノバラって子も、教え子？」
「ウン」
八雲は未だに隣に立つ五条が教師をやっていたことを疑っていた。
ただ、家入や夏油が否定しない辺り本当のことなのかもしれない。言及するのは後でもいい。
「この感じだと、他の奴らもヒーローなんだろう。ほら、七海とか」
「七海！懐かしいね」
「そうだな、灰原もいるかもしれねえ」
灰原。懐かしいその響きに反応したのは夏油だった。
灰原は夏油を慕っていた。
夏油もまた、素直に自分を慕う灰原を気にかけていた。
特級呪術師、夏油傑にとって灰原雄という存在は重要なキーパーソンであった。その話は、割愛しておこう。
「そういや、みんな個性ってどうなってんの？」
ちなみに私は前世と同じと八雲は言った。
八雲の術式は重力操術であった。
これがなかなかに扱いにくい物であった。
物体にかかる力や、反発する力等を瞬時に頭で計算し操る。素人には到底成せる技では無いため今世でもかなり強い個性とされていた。
五条、家入、夏油もまた同じだと言った。
「五条は六眼もあるとかチートだな。個性も見えんの？」
「バッチリ！」
「ね、傑は？呪霊出すの？てか出るの？」
「ここには呪霊が無いらしいからね。今まで調伏した呪霊は使えるけど、目には見えないみたいだよ」
「傑、オマエ、特級も調伏してなかった？」
「はいチートォ」
夏油の言うようにこの世界には呪霊が居ない。
夏油の個性は、増やすことは出来ないが調伏した呪霊が消えることもないらしい。まあ、増えないのならばそこは妥協点だろう。
「俺らヒーローなっちゃう？なるからにはやっぱ最強でしょ」
「ウザ」
「悟一番ヒーローっぽくないんだけど」
ケラケラと笑う彼らに、夏油の声が響く。
「私は、ヒーローなんてごめんだね」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2668人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あお - 間の開け方とか言葉選びとかすごい良かったです！！ (2022年8月28日 20時) (
レス) @page18 id: c1da01ed72 (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 呪術師側のイカれ具合とか、ヒーローに対する嫌悪とか、全て大好きです。 (2022年1月2日 15時) (レス) @page50 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
あかし - あくまで私個人の感想です。書き方やオチ希望してる方がいますがこれは作者様の作品です。書き方も展開も終わり方も全て作者様の自由です。私はこのままの作品が好きですし、作者様の自由にして下さい。言葉選び、文脈全てが大人で素敵です。これからも応援しています。 (2021年8月7日 14時) (レス) id: 9951821a6a (このIDを非表示/違反報告)
天宮 - 誰が喋っているのか聞いてくれないとわかりません。 (2021年6月28日 8時) (レス) id: 453c097156 (このIDを非表示/違反報告)
天宮 - 誰が喋っているのか聞いてくれないとわかりません。 (2021年6月28日 8時) (レス) id: 453c097156 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ずんだもち | 作成日時：2021年2月11日 11時
