幕開け ページ23
．
「お、帰ったか」
「真希さん！おつかれっす」
「おい、虎杖」
「おー、伏黒か。おつかれ」
「居たか」
誰が、とは聞かなかった。
虎杖は雄英高校から、ヒーローの卵たちに体術を教えて欲しいとの依頼を受け、今帰ってきたところだった。先程までフレンドリーな笑顔で生徒達を散々振り回していたのは言うまでもない。
今頃緑谷たちA組も、もちろんB組もヘロヘロだろう。
虎杖はヒーローの卵たちに教えることを楽しみにしていた。
未来の社会を担っていく存在であろう彼らに何かを教えることは虎杖にとって光栄な事だった。更に言えば、虎杖は雄英高校の門を通っていない。一度でいいからあの大きな校舎に入ってみたかったのだ。
だが、主な目的はそれでは無く。
「…いや、居なかった」
「はぁ？アンタ、ちゃんと見たんでしょうね？」
釘崎の言葉に虎杖はうん、と頷いた。
ヒーロー科はA組とB組だけだ。虎杖は生徒の名簿を何周もした。それでも無かったのだ。
五条悟の、あの最強だった師の名前は、どこにも。
「
「、そうっすよね。ほら、体育祭あるし！」
「つーか、アイツがあたしらを放っておくわけ無いでしょうよ」
釘崎の言葉に虎杖はそうだよな、と笑った。
一方の伏黒は、その言葉に同意することが出来なかった。
彼らの見る五条と、伏黒が幼い頃見た五条は、まるで違う。
昔の五条はもっと、なんか、そう、乱雑だった。
鮮明に覚えている訳では無い。でも確かに、伏黒の成長と共に五条は変わっていった。
五条はなんだかんだ言って優しい人だった。
でも、今、五条は自分たちに興味を示すのだろうか。
俺たちに、会う理由はあるのだろうか。
呪術師を育てるため、五条はチョークを持った。
じゃあ、今は？
二度目の人生。伏黒はよく覚えていた。
幼い頃、上手く行かなくていらいらして、涙が出た。
そこではたと気づいた。思考に、精神と身体が伴っていないことを。
今の五条は思考で言えばれっきとした大人だ。
でもそれが精神的にも、身体的にもそうかと聞かれたらそうだとは言えない。今の五条の精神は、伏黒さえも知らない高校一年生の五条だった。
会いたい。けど、会うのは、怖い。
そんな思いが伏黒の中にはあった。
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あお - 間の開け方とか言葉選びとかすごい良かったです！！ (2022年8月28日 20時) (
レス) @page18 id: c1da01ed72 (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 呪術師側のイカれ具合とか、ヒーローに対する嫌悪とか、全て大好きです。 (2022年1月2日 15時) (レス) @page50 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
あかし - あくまで私個人の感想です。書き方やオチ希望してる方がいますがこれは作者様の作品です。書き方も展開も終わり方も全て作者様の自由です。私はこのままの作品が好きですし、作者様の自由にして下さい。言葉選び、文脈全てが大人で素敵です。これからも応援しています。 (2021年8月7日 14時) (レス) id: 9951821a6a (このIDを非表示/違反報告)
天宮 - 誰が喋っているのか聞いてくれないとわかりません。 (2021年6月28日 8時) (レス) id: 453c097156 (このIDを非表示/違反報告)
天宮 - 誰が喋っているのか聞いてくれないとわかりません。 (2021年6月28日 8時) (レス) id: 453c097156 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ずんだもち | 作成日時：2021年2月11日 11時
