CAFE&BAR eight - ∞ (ページ15)

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５(End) ページ15

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「あの……ミネストローネ、私は良いと思います」

そう言うと、彼女は照れたように笑った。

ああ、認めざるを得ない。

黒「ありがとう、ございます……」

「また来ますっ」

ぺこっと可愛らしくお辞儀をして、彼女は背を向けた。

一歩一歩、店の外へと足が向かっている。

それと共に、俺の心臓の音が大きくなる。

黒「あの！」

考えがまとまらないまま、俺は彼女を呼び止めていた。

ドアを開けたところで立ち止まり、こちらを振り向く彼女。

どうするつもりやねん、俺。

呼び止めてまで言うことなんてあるんか。

待ってますとでも言うんか？

そんな自問自答を繰り返しながら、彼女の側に立つ。

まずは名前を聞く、それでええやん。

黒「好きです！」

思いがけず口を出た言葉に、目をまん丸にして驚いている彼女。

黒「あっ、いや、ちゃう！ほんまは名前聞こうとして……ああ、もう！」

頭をガシガシとかいて、俺はうなだれた。

こんなん、絶対あかんやん。

絶対にあかん奴やと思われたわ。

「フフッ、意外と抜けてるんですね」

俺の予想とは違った、明るい声が聞こえた。

顔を上げると、頬を赤くした彼女が笑っていた。

「Aです。佐藤A」

黒「へっ？」

「横山さん、ですよね。横山さんも名前、教えてください」

そう言って、彼女は軽く首を傾げた。

思いがけずに始まった恋が、風に乗って動き出した。

End

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