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…そんなことは置いておいて、だ。
リビングが賑やかだ。少し降りてみよう。
「ン?おい仁海!!!」
俺が階段を下ってきたことに早速気づいたのは明石武臣…俺の兄貴だ。
前は女だからと丁重に扱われていたが、今は男だ。
千壽の男らしいふるまいの責任がこちらにも向いているという。
千「仁海〜!!」
千壽はたったったと小走りで私…俺の後ろに隠れる。
『…こんな男所帯の中の女の子一人って、
男勝りになるっきゃないと思うんだケド。』
前の世界での千壽の一人称は”ジブン”であった。
多分それは俺が元々女であったことが原因だろう。
ならば俺が男になった今、それは無くなった。
これも一種のバタフライ・エフェクトだろうか。
『じゃねぇ!!』
『春千代…!!ぁ…生きてやがる…!!』
家族と接し、この世界の口調を取り戻しつつも春千代の生存を確認する。
そして感涙する。
千「どっ!どうしたんだ!?どっか痛いのか!?はっ春千代っ!!春兄ぃがどうかしたのか!?」
千壽はいつまでも千壽だな…のんきにそんなことを考える。
武臣はただ慌てふためいている…が、気になるのは春千代の反応だ。
驚いている…のは、普通である。
通常兄が唐突に自分の名を呼び泣き始めたらそうなる。
だが、何かをぶつぶつとつぶやいている。
春「………さか………………んかいも………しんいちろ…………ばじ……………」
所々聞こえる声には、真一郎、という単語があった。
『ッ!!そうだ!!真一郎!!!!真一郎は!!…あぁ………ごめん、なんでもない。』
…思い出した。
真一郎は死んだ。
『…ぁ、マイキーは?』
春「仁海、落ち着け。とりあえず俺の部屋に来い。説明してやる。」
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作者名:塩ラー | 作成日時:2024年1月5日 10時