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燈矢が世間を騒がす殺人犯だと分かっても、おれは「まあそうなるわな」と妙に納得してしまった。
おれが轟家に生を受けて早22年。長男が死んだり母親が10何年も精神科で入院治療されてたり父親がNo.1になったりと、さまざまなことがあった。
いや本当にいろいろと起きすぎな。うちの家族の誰かが主人公か準主役だったりしない？
コミックの中のような一家だなあと思っていたが、まさかまだ終わらないとは。
テレビをジャックした長男は、自らの爛れた皮膚を見せつけながら父親の非をこんこんと語った。
それなりの大企業で2年目に突入しようとしていた矢先の出来事に、Aはじゃっかんの苛立ちと呆れを抱いた。周囲の目が己に向くのを感じて、Aはサッと上司の元に向かって早退を願う。
頭の柔らかい上司の労りを背に受けつつ、Aは兄弟のグループチャットに一旦合流しようと連絡を入れた。
・
この世界怖い。
「どっ、エッ、なに焦凍くんもその場にいたの」
２日後、父親が入院する病院に訪れたAたちは受付嬢の案内で焦凍の病室に足を踏み入れた。
喉が焼けて声を出すのも辛そうな焦凍に、冬美が下唇を強く噛む。皮がむけるよと止めさせて、Aは改めて包帯まみれの末子に目をやった。
「Aに"い、も、きて」
「あああ喋らなくていいから、そうだよ〜！おまえの兄ちゃんが来たーってね！！」
「A兄……」
「えっなに夏雄くん目が冷たい。もしかして今おれ滑った？」
焦凍ってオールマイト好きじゃなかったっけ？
ハテナを浮かべて縋るAを軽くあしらって、冬美は家族の最後尾にいる母親を病室の中に招き入れる。すれ違いざま、母親はAに「ありがとう」と微笑んだ。
しんしんとした空気を温めるためにかましたギャグだと捉えられたAだが、今更弁明する気にもなれず。
ハズレくじを引いたとAは頬をかいた。
焦凍を含めた5人で父親の病室に向かう途中、焦凍は「燈矢兄は俺がやらなくちゃ」と震える声で話す。
何この激重一家。16になったばかりの子供が実兄を相手取る覚悟を決めるって何事？温室生まれ温室育ちのAは、頷く兄弟たちに着いていけなかった。
「大丈夫よ、焦凍。みんなで支えるから」
母親ァ！！！！後押しすな！！！！！！！！！！！
何この世界超怖い。
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緑猫(プロフ) - しらないさん» ご返信が大変遅れました…！申し訳ないです！コメントありがとうございます！！思いついたときにこそこそ書き溜めていけたらと考えております＾＾ (2021年12月29日 0時) (
レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
しらない - 面白い。好き (2021年12月22日 14時) (レス) @page4 id: ffdbbf39c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑猫 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?
作成日時：2021年12月16日 21時
