バスの生き物 ページ18
＊
自身の個性で身を焼き、どんどんと上がる火力に翻弄されるがまま、死という文字が頭に浮かんで来た頃にそれは突然やってきた。
「ぁ」
朧気な視界の中で目に映ったのは、らんらんと輝くまっきいろの大きな瞳。
台風が直撃したかのような突風が木々を薙ぎ倒し、登場とともに燈矢の蒼炎を吹き飛ばしてしまった。もちろんそんな強風に中学生の燈矢が立っていられるわけもなく、呆気なく浮いた身体が地面に突撃する前にふさふさとしたものの上に着地する。
否、燈矢がケガをしないように地面との間に差し込んでくれたのだ。
それは巨体に見合った、馬鹿みたいにデカい尻尾だった。
これはなんだろう。
見た目はバス。でも顔がついている。車輪はなくて、代わりに手足が生えていた。ぼうっとした頭で数えることは出来ないけど、とりあえず片側に2本以上あることは確定だ。
顔は明らかにネコだが、これはネコではない。なぜなら身体をくり抜いて窓がついているからだ。
不思議な生き物だった。
きっと、これは幻覚だ。
今まさに死に向かう燈矢は、頭がちゃらんぽらんになっておかしなものを見てしまっているのだろう。だってそうでも思わないと、にゃあごとネコのように鳴いたコレに説明がつかない。
個性の治まった身体がふさふさの尻尾に沈む。
３本の髭が生き物の呼吸に合わせてぴくぴくと上下するのを最後に、燈矢の視界は完全にブラックアウトした。
・
(数年後、怪しげなバーにて「今は荼毘で通してる」「……その後ろのバケモンは」「俺の足だ」「きゃ〜！カァイイです！」と見事にネ〇バスを使いこなすツギハギ男がいたり)
(荼毘は承認欲求を拗らせたこどもなので見えます大丈夫。黒霧などの30代組には見えないこどもの世界)
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 40人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
緑猫(プロフ) - しらないさん» ご返信が大変遅れました…！申し訳ないです！コメントありがとうございます！！思いついたときにこそこそ書き溜めていけたらと考えております＾＾ (2021年12月29日 0時) (
レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
しらない - 面白い。好き (2021年12月22日 14時) (レス) @page4 id: ffdbbf39c1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：緑猫 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?
作成日時：2021年12月16日 21時
