トリップ系男主 ページ12
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この世界が漫画の中だと知っているのは、世界でおれだけだ。
Aは前世で言うところの転生者である。
前世で暇さえあれば漫画を読んでいたAは、おおよそ記憶の中の人間ではない者たちがのっしのっしと道行く姿を見て「あ、これ漫画だ」と即刻理解した。さらにテレビの中でハイカラな衣装に身を包んだヒーローと呼ばれる人々がお手柄と讃えられる様子に、無個性の少年の物語だと把握することができた。
そうしてAが決意したことはただひとつ。
この世界で生き残ることだ。
知ってるか、老若男女問わず愛されるジャンプ漫画は死ぬんだぞ。例え主人公の兄でも死ぬんだ。
Aは愛してくれてありがとうと華々しく散るつもりはさらさらない。漫画は読むから楽しいのであって、自身が体験するのはまた別の話だ。
死なないことを目標にしたAだったが、運の悪いことにAは週刊誌の読者ではなかった。
そのうえ、無個性少年物語は時間が合えばアニメをちょこちょこと見る具合であったため、あまりにも知識がない。
主人公は継承者であだ名はデク。体育祭で腕がエグいことになる。幼馴染みのかっちゃんは爆破。紅白頭はレートが高い。オールマイトはよぼよぼ。ラスボス？はスーツを着たのっぺらぼう。ナントカの悪夢でオールマイトが引退し、街が半壊滅状態になる。以上。
うーん詰み！全然知らねー！
でもとりあえずスーツを着たのっぺらぼうを避ければ生きていけそう。一振りで街半壊するのはやべえから。腕１本で天候変えるオールマイトもやべえけど。そう考えると正義と悪は表裏一体なんだな。ただその力を自分のために使うか、人のために使うかの違いなだけで。
1度は己の知識の浅さを嘆いたAだが、いつまでもクヨクヨしていてはダメだと次の3つのルールを設けた。
・主要人物を見かけたら即座に離れる
・雄英高校には通わない
・ヴィランにもならない
といってもまあ、ヒーローを育成する雄英高校には通わないと思う。
なぜなら家がヒーローに否定的というかある意味病気なので。
「A！」
部屋の外から己の名を呼ぶ聞き慣れた声がして、Aは半分だけ扉を開けてひょっこりと顔を覗かせた。
「A…ってああ、そこにいたのか」
「おれはここだよ、お義父さん」
「まったく、かくれんぼが上手い子だ…おいで、ご飯にしよう」
遅くなったが、俺の名前は死柄木A。
これは俺が生き残るための生存戦略物語だ。
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緑猫(プロフ) - しらないさん» ご返信が大変遅れました…！申し訳ないです！コメントありがとうございます！！思いついたときにこそこそ書き溜めていけたらと考えております＾＾ (2021年12月29日 0時) (
レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
しらない - 面白い。好き (2021年12月22日 14時) (レス) @page4 id: ffdbbf39c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑猫 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?
作成日時：2021年12月16日 21時
