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「おわった！」
「はい、お疲れ様」
鉛筆を放り投げる勢いで挙げられた腕を避けて、Aは頑張った冬美の頭を撫でた。
冬美の名誉のために言っておくと彼女は頭が良い。基本的に説明されたことは1度で理解するし、子供らしい柔軟な発想だって持っている。
いま冬美が手こずっていたのはAと共に通う塾の宿題で、1年先の授業を予習していた。前世の記憶を持つAはともかく、本物の小学生である冬美が着いてきているのはかなりすごいことだと思う。
難易度の高い有名校に通わせる父親は、おれたち兄妹を魔改造するつもりなのだろう。
「お外いこうよ！夏よんでくるから燈矢兄誘ってきて！」
「はいはい」
「ハイは1回だよ」
先生のような言葉を残して、冬美はタッタカと廊下に消えて行った。
Aは言われた通り、燈矢を誘いに彼の自室へと向かう。尻に敷かれすぎだと言わないで欲しい。男兄弟ばかりの紅一点は権力がオニツヨなのだ。
個性ガチャで大当たりを引くまで立ち上がれない父親がせっせと子供を増やしたおかげで、今世のAはなんと、ウィーズリー家も「マーリンのヒゲ！」と叫び出しそうな7人家族だ。
ああいや、彼らは7人兄弟だったか。上には上がいるんだなあ。
Aと冬美は5人兄弟の次男と長女で、長男のほかに三男と四男がいる。
いまAが向かっている長男の燈矢はAたちの1つ上だが、なんかもういろいろとやばそうな雰囲気をビンビンと感じるのが特徴だ。兄弟たちの前では優しいお兄ちゃんだけど、父親が絡むと途端に人が変わってしまう。一言で言うとヒス男だ。
どうしてそんなことになっているのかって話なんだけど、詳しくは知らない。というのも、ヒス男本人から聞いた話なので視点が偏っているのだ。
多少、燈矢の妄想も入っているんだろうなと思いながら、でもそうなる原因が必ずあるはずなので、結局父親が悪いという結論に至っている。
前世にはなかった「個性」という異能が各々に備わっている。力を持った人間が何をしでかすかは想像に容易いだろう。
異能を悪用する人間を取り締まるために、国は「個性」使用制度を設けたうえで、「個性」使用可能な職業をひとつ作った。
それがヒーローである。アメリカンなマントを靡かせて敵をノックアウトするカッチョイイ姿に、人々はこぞって憧れを抱いた。
ヒーローになるための学校さえある始末。強い「個性」を持って生まれた子供は、揃ってヒーローを夢見る世界だ。
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緑猫(プロフ) - しらないさん» ご返信が大変遅れました…！申し訳ないです！コメントありがとうございます！！思いついたときにこそこそ書き溜めていけたらと考えております＾＾ (2021年12月29日 0時) (
レス) id: dd1c3e784a (このIDを非表示/違反報告)
しらない - 面白い。好き (2021年12月22日 14時) (レス) @page4 id: ffdbbf39c1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：緑猫 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/personal.php?
作成日時：2021年12月16日 21時
