検索窓
今日:12 hit、昨日:1 hit、合計:10,388 hit

7 ページ7

.





バスはどんどん進み、やがて高速道路に乗って。

途中、サービスエリアで休憩に入った。




バスを降り、お手洗いを済ませた後、腕時計で時間を確認する。






(出発は……9:30か)





あと30分近くある。


せっかくだし、お土産屋さんを覗きに行こう。


最近のサービスエリアは、お土産屋さんが充実してるところが多いし。

露店を回るのもいいかも。





ご当地B級グルメや、名前も知らない情報雑誌。


よく分からないキャラクターのキーホルダーや、定番のお菓子など。



お土産屋さんには、面白そうなものが沢山売っていた。








お土産屋さんの中をぐるぐると回っていたあるとき、ひとつのワゴンが目に止まった。





茶色くて、ちょっとアンティークな装飾が施されたそのワゴンには、


動物のぬいぐるみや小物など、全体的にもこもことした癒し系グッズが沢山のせられていた。


ワゴンの周りには、ちらほらと動物の置物もある。






(かわいい……!)







周りの人達の目線など一切気にならず、

私は吸い寄せられるまま、うきうき気分でそちらへ歩いて行った。






なんだこの素敵空間。

ぬいぐるみたちがいっぱいに積まれて、みんながみんなこっちを見てる。

かわいすぎる。天国です。






どのぬいぐるみちゃんたちも、すっごくかわいいけど……



私は、さっきから特にずっと目が合っている(気がする)、"その子"を手に取った。










"その子"は、くまの巾着袋だった。




生地は丸ごとくまさんの毛のようにモフモフ、ふわふわした素材。



結び口の下には、目、鼻、口と……顔の刺繍が施されている。



下がり眉で、目がたらんと垂れたおちょぼ口の、ちょっとぶちゃいくなくまさん。


丁寧に作り込まれた愛嬌あるくまさんのお顔に、私はメロメロだった。






(かわいい、かわいすぎる……!)





可愛い。肌触りも最高。しかも巾着袋だから、普段使いもできる。


こんなの買わずにいられようか。



……いや、だが落ち着け私。一応値段は確認しよう。


くまさんのお尻あたりに付いてるタグを、くるっと裏返す。






「…!?」






3000円!?

手乗りサイズでこの値段か。思ってたよりもするな。

いやでも、めちゃくちゃ肌触りいいし、これくらいの値段は妥当か……






「うう……」






払えない値段では全然ないし、すごく可愛いのだけど……ちょっと迷うな。


いやでも、こんな可愛い子、逃すのは惜しい。


どうしようどうしようと、逡巡していたら。

8→←6



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (43 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
171人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:mili | 作成日時:2023年1月5日 21時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。