じんわりと、ゆっくりと。《緑》 (ページ3)

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さっき話しかけてくれた重岡大毅さんは、

都内私立大学の音楽サークルに所属している、4年生の先輩だ。

弾ける笑顔と、明るい性格が魅力の彼。

常に人の輪の中心にいて、その場を盛り上げてくれて。

重岡さんは、こんな人見知りの私にも、いつも積極的に話しかけに来てくれた。

初めて彼と話したのは、年度始めにやった演奏会後の飲み会だった。

重岡さんは、私がその日披露した箏の独奏を、手放しで褒めちぎってくれて。

最初は酔った勢いで褒めてくれてるだけなのかな、と思っていたけど、

どうやら違うらしかった。

重『森ちゃんの箏、めっちゃ良かったで～』

ニコニコ笑う重岡さんは、その後ずっと私の隣にいてくれた。

優しい言葉をかけられる度、なんと返したらいいか分からなくて、

その時の私はただ、「ありがとうございます」と繰り返すばかりだった。

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