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14*side 緑 ページ14

『みなさんと 頑張って話したい』。






緊張してる中でも、そうやって自分の意思を伝えようとできんのは、偉いことやで。





森川さんのメッセージを受け止めてから。

俺は彼女からマイクを受け取ろうと、彼女の席の方へ身を乗り出す。




ぽつぽつと拍手が起こる車内。


緊張から解放された彼女の耳は、後ろから見ても赤く染まってて。





頑張ったな。偉いで。



言葉には出さへんけど、彼女の背中にそう伝える。






胸を上下させ、息を整えた彼女は、やがてマイクを渡すために俺の方へ振り返った。








「……えっ、」



神「ん。ありがと」






マイクを受け取りながら、彼女にそう伝えて。







すると、緊張で染まっていた彼女の頬は、さらに赤くなった。






隙間を残した、発色のいい唇。見開かれた目。


ぱちぱちと瞬き繰り返す睫毛の下で、潤んだ瞳がじっとこちらを捉える。









時にして何秒か。多分それは、カンマ何秒の世界。


俺らは、ちょっとの間だけ見つめ合ってた。










神「……だいじょぶ?」







見つめ合うことに胸のあたりがくすぐったなって、先に途切れさせたのは俺の方。


彼女もハッと我に返ったらしく、







「大丈夫、です。すみません」






小さな声でそう告げる。

そのまま彼女は、物凄い勢いで元の位置に座り直してしまった。











ああ……思い出した。



この子、しげが言うてた“おもろい子”や。






春定演後の飲み会ん時、めっちゃ端っこにいた子。



自信なさげに、目を伏せておどおどしてた子。






森川Aさん。



彼女は今回、冬合宿に参加しとるんや。

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作者名:mili | 作成日時:2023年1月5日 21時

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