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「何しとんねんお前ら」
そこで、背後からかけられた声。
肩を震わせ、振り返れば。
ちょっとジト目でこちらを見る、重岡さんがいた。
神「！ しげ」
彼の登場に驚いた神山さんの手が、私の手から離れる。
私もぱっと手を引っ込め、体ごと重岡さんの方を向く。
ぱちっ、と重岡さんと目が合えば。
彼は何も言わずに、人差し指でツンツンと、ご自身の頬を指す仕草をした。
「……？」
重岡さんの行動の意図が掴めず、私が首を傾げれば。
(か・お)
そう口パクした重岡さんが。
都庁前で見たときと同じ、あのニヤニヤ顔をこちらに向けて。
「……っ！」
この人！
多分また私に、「顔真っ赤っ赤」って言おうとしてる！
恥ずかしさでさらに顔から火が出そうな私をよそに、
彼は神山さんに気さくに話しかけた。
重「よっ、神ちゃん。みんなが二人のこと待ってんで」
神「あー、ごめん。今すぐ戻る」
「す、すみません……私が、神山さんのこと、つ、付き合わせてたんです」
重岡さんの胸元あたりに目をやって、もじもじと話せば。
すぐに神山さんが「いや、それはちゃうよ」と返して。
神「俺が勝手に絡みに行っただけよ。森川さんが謝ることないて」
重「んなん、どっちでもええわ(笑) お前ら二人して謝って、真面目やなぁ」
ほら行くで〜、と重岡さんが笑って歩き出す。
(びっくりした……)
重岡さん、毎度毎度心臓に悪い。
ちらっ、と神山さんを見上げれば、彼もちょうど同じタイミングでこっちを見下ろしてた。
「っ……」
だめだ。
目合うだけで、ほんとどうにかなりそうになる。
だけどなんとか俯かず、目を逸らさず。
じっと彼の瞳を見つめていれば、神山さんが先に逸らして。
そしてもう一度目を合わせてきた神山さんが、
神「行こか」
そう優しく言ってくれたから、私はこくんと頷き返して。
頂いたくまちゃんを、大事に抱きとめながら。
「早く〜〜」って急かす重岡さんを追いかけ、彼と並んで歩いて行った。
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作者名：mili | 作成日時：2023年1月5日 21時
