2 ページ2
.
今日から四日間、私が所属する巨大インカレサークル『
『全音会』とは、『全国学生音楽会』の略称。
全国の大学の音楽サークルが、独自に連盟を作ってひとつの集団にしたもの。
この連盟の創設者は何十年も前の何処かの学生さんで、どうやって発足したのか、私はよく知らない。
『全音会』のシステムは結構複雑で、ひとことで説明するのが難しい。
だから、ごくごく簡単に言ってしまえば、
全国の大学の音楽サークルが、ひとつの団体として集まって、超巨大音楽インカレサークルを形成している……という認識の仕方でオーケー。
吹奏楽サークルとか、合唱部とか、バンドとか。
私が所属してる
この連盟に所属できる条件は、たったひとつで。
『音楽を愛す団体、および人であること』。
音楽的センスがあろうがなかろうが構わない。
飛び抜けた才能がなくったっていい。
兎にも角にも音楽が好きで、音楽がない人生なんて考えられなくて、音楽のもつ力を誰よりも信じている人なら、
誰でもこの、『全音会』の一員になることができる。
私は、昔から音楽が好きだった。
幼少期から楽器をやっているわけでもなければ、絶対音感があるわけでもない。
歌だってめちゃくちゃ上手に歌えるわけじゃない。
それでも、音楽を聴くのが好きだし、自分で演奏をするのが好きだった。
そして今年から、私はT女子大学に入学し、箏曲部『
この『久遠会』は『全音会』の加盟団体の一つなので、私はそのまま自動的に、『全音会』のメンバーとなった。
『全音会』では色々な活動が行われているけど、今回の冬合宿はそのうちのひとつ。
大好きな箏の腕前を上げるチャンスであることは言うまでもなく、何より、他大学の人たちと交流を広げられるチャンス。
人見知りの私は、こういう場所に飛び込んで、なんとか自分のコミュニケーション能力の低さを矯正しなければならない。
だからこの機会を無駄にしないよう、頑張りたい。
……でも。
(せっかく重岡さんが話しかけに来てくれたのに)
早速、チャンスを水の泡にしてしまった。
幸先が悪すぎる。
171人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:mili | 作成日時:2023年1月5日 21時