梅の姫。悪役となり、阻まれる。しかしむなしく、止められるだろう。【暗殺教室】【名探偵コナン】～トリップ～ (ページ48)

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番外編1.喪った姉。ページ48

なんか、急に思い付いたので。
(本編の主人公とは、
関係がありません)
※男主

～～～
いつまでも続くと思っていた楽しい日々。
それが簡単に崩れてしまうなんて、
思いもよらなかった。

喪った者が大きくて。
心に空いてしまった消失感が広すぎて。
感情がグチャグチャで。

泣き続けることしか出来ない。

『もう、また泣いてるの？』

鈴のような声が聞こえて。

『まったく。いつまでも泣き虫なんだから』

その優しい声が響いて聞こえて。

明日という日が未知なのに、
絶望しか無いなんて。

涙が枯れてしまう日は、来るのだろうか…。

ーーー

愛娘の突然の不幸に父、宏と母、琴見は、
かなりのショックを受けていた。

大事な愛娘を突然の事故によって
失ってしまったのだ。

当然寄り添って慰めあっていた。

マスコミやその他がうるさいからと、
外部との接触を絶っていた。

遺影だけを前に、悲しみを深くしていた。

突然、携帯電話が鳴りだした。

自分達のではない。愛娘の愛用していたのは
壊れてしまった……。

「……これ、Aのじゃ、ない？」

「……ぁ……………」

止まっていたはずの思考を無理矢理
動かして見れば、息子の存在を忘れていた。
一体、いつから忘れていたんだ？

鳴り続ける携帯の通話をONにして、
琴見は驚く。

「A君を早く出してっ！！」

「貴方、誰っ」

「俺は勇気！後で説明するから早く彼を…
あぁ、玄関を開けてくれてもいいからっ…」

悲鳴の様な声に琴見は、宏に言った。

「玄関を開けて」

「は？」

「いいからっ！！急いでっ！」

久しぶりに聞いただろう、妻のハッキリと
した声に、宏は玄関へ向かう。
確かに携帯もって叩いてるヤツがいるけど。

琴見は、Aを探して見つけた。

鈴の部屋にいた彼。
ずっと此処にそうしていたのだろうか……。
壁に背を預けて膝を抱えて。

母譲りの蒼い瞳を真っ赤にして、
ずっと泣き続けていたとでも……？

「ごめんっ、勝手にお邪魔しますっ！」

「あぁ！？」

「後で全部、話しますからっ！」

「A君っ！！！」

琴見は突然、自分を押し退けて勝手に
入ってきた青年に驚く。

「A君？A………」

何も映そうとしないAの蒼い瞳からは、
綺麗な涙の粒が伝い落ちる。
悲しすぎて、どうしていいのか
分からなくて…。

Aを抱き上げて、あまりの軽さに
顔を険しくした。

一週間、一体何を食べていたのだろうか。

「吐き出してみな、俺が聞いてあげるから」