翼の初めての幸福 ページ2
「え……異動って事ですか……?」
「嗚呼。……無いとは思うが、何か不満でもあるのか?」
威厳のある声を発した言葉。それを耳にした時、俺は反射的に首を横に振って居た。
その機械的な動きを満足げに見て居るのを横目に見て居ると、扉からコンコン、と音が聞こえた。
「すみません、少しオペが長引いてしまいまして。
お時間を掛けてしまい誠に申し訳ありません」
扉越しに聞こえたその声は、恐らく20代前半の男性のもの。
孤児院を運営して居ると聞いて居たから、正直歳が不相応に思え驚いた。
「嗚呼、いえいえ。事情は聞いて居ますので、お気になさらず。どうぞ、お入りください」
先ほどとは打って変わって、取り付けた様な笑みを浮かべた院長。
対照的にこの人は大層じいさんだなあと失礼なことを思う。
「君が75番君、か?俺は
………といっても、俺はただの教育医なんだけどな。
院長は今日は用事が入ってしまいましたので、代理で来たんですよ」
なるほど。それならまだ納得はできる。
「ええ、存じております。では、75番。しっかりするんだぞ」
「……はい、またいつか」
この人には二度と会いたくないな。
心の中で言葉とは正反対のことを思いながら、約15年を過ごした施設を出た。
施設のドアを開けて数歩歩いたところで、いきなり立ち止まった。
「……75番、だっけか。腹減ってないか?ちょっと行きたいとこがあるんだけどよ」
「……え、まあ…減ってます」
これは本当だ。「ま、あんな所に居りゃ当然だろうな。」と目を細めて言った。
そして、いきなり俺を担ぎ上げて言った。
「じゃあ問題無いな。よーし、行くぞ75番!」
「……ん!?ど、え、ちょ、待っ、わァァァァ!!!!!」
この人、めちゃくちゃ足が速い。
そのことを感じながら、唯一外との繋がりとなっている小さな港に向かった。
----番外編 翠斎槻の痕跡---- 弌→←翼は幸せを知らない。
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松宮カナメ(プロフ) - くろせさん» わあ!!ほんとボロクソ言ってすみません!!!ありがとうございます!! (2019年5月7日 22時) (レス) id: eb873f1f0d (このIDを非表示/違反報告)
くろせ(プロフ) - どうも小学生から中学生になった唐揚げが嫁な奴の親です← 剣士使って頂いてありがとうございます!更新、楽しみにしてますね! (2019年5月7日 21時) (レス) id: c00e49c93d (このIDを非表示/違反報告)
松宮カナメ(プロフ) - 十二月三十一日さん» ワァァ、ありがとうございます!!いつか書きたかった話なのですごく嬉しいです……!こちらこそステキなキャラクターをありがとうございます!ぜひ書かせていただきます! (2019年3月16日 22時) (レス) id: eb873f1f0d (このIDを非表示/違反報告)
十二月三十一日(プロフ) - お久しぶりですね。ウチの斎槻を使って下さり有難う御座います。久し振りに巡回していたら、まさかの番外編に思わずにやけてしまいました。理想的過ぎる展開でびっくりしました。未だに感激しております。次のお話、楽しみにしております。 (2019年3月16日 20時) (レス) id: 825c15ca49 (このIDを非表示/違反報告)
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