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「皆さんの動きを、精一杯、勉強させて頂きます!」
「よッと...! 結構、調子良いかもしれないな。今日はちょっとランニングのペース早めてみよう。フンフフ〜ン♪」
「靴、カッコいいですか? えへへ、ありがとうございます! 実はこれ、実家の靴屋で作ったものなんです。“Allure”ってお店なんですけど。よかったら行ってみてください、きっと貴方のお気に入りの靴がありますよ。僕の家族の作る靴は、世界一なんです!」
「姉は美しい人でした。僕にとっては、一番近く、一番遠い目標で。……同じ人間で、それでも僕より一歩先を行っていた。誇らしいです、ずっと」
「えっと……僕の思っている“ジューダスさん”で間違いなければ……実家でお世話になっている方だと思うのですけど……」
「どうして、皆さんが傷つくのでしょう。僕が、あともう少しでも強かったなら……その傷も、僕のものになったりしないでしょうか」
「あああ、そうなったら! 僕は、どんなに仕合せだろう」
「─────済みません。戯言ですので、どうかお気になさらず」
「誰よりも素早く。参ります」
「貴方の相手は僕です。皆さんの邪魔をするようならば……この僕が、情け容赦なく、叩き斬りましょう」
「ごめんなさい。僕はこの剣を目にすると、どうしても、忘れられないことがあるのです」
「しかし。……しかし、理性とは。カッ飛ばすもの、と心得ております。お見苦しいところをお見せしますが、どうかお許しください」
「ああ」
「姉ちゃんを返してくれ」
「なんで僕が生きて姉ちゃんが死ぬんだ。なんで姉ちゃんは僕を…ッ、僕を、二人で一つの僕を、置いていったんだ…ッ!!」
「ああ、ああ、もう許せない。全て薙ぎ払ってやる。0に1にする間もなく殺してやる。僕の全てを尽くしてでも、すべて…ッすべて、殺してやる!!」
「罪は裁かれるべきものだ。けれど…生まれてきたことのみを、僕は罪とは形容しないから。 せめて、安らかに眠ってくれ。争(あらが)うな」
「ああああああ、苦しい、苦しい。ああ、あのとき、姉ちゃんは痛かっただろうなあ、痛かっただろうなあ、…ッ許さない、許さない……!!」
「……ッえ」
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作者名:松宮カナメ | 作成日時:2022年7月28日 1時