その顔に ページ43
・
Aの話は正直最初から最後まで理解できんかった。それでもあまりにもAが感情無く話すせいで冷静に話を聞くことが出来た。
話途中でAが泣いたり、悲しそうな顔をしようものなら、今すぐにでもその元彼とも呼ぶ価値がない男の居場所を突き止め始めている所ではあった。
…
「それにしたって、お姉が自分の事しか考えてへんって言うとこの意味だけ今もよぉわからんのやけど」
大体、なぜAがここまで酷い仕打ちを受けてこなければならなかったのか。なぜ被害者である当の本人はこんなにもけろっとしているのか。
しかも、俺と侑を心配させんようにって今日までその先生にしかその事実を打ち明けてこなかったという所も俺的には気に食わないが、それも全て後の祭りだ。
「んー…まぁ私もあん時まだ子供やったから、自分の事過小評価してた部分はあったと思う。
もっと自分の事大切にせなって、大人になってから分かったわ。せやけどほんまにあの時誰にも言わんかったのについて後悔とかそういうんは、やっぱり無いわ」
「せやったらAは今やって ちっとも自分の事大事にしてへんやないか。
なぁ、聞くけどそのAの心の穴埋めは誰がするん？その先生か？」
「いや、その先生はそんなんとちゃうで。
今もたまに仕事ない日会ってご飯食べに行ったらするけど。悪友みたいなもんやな笑」
…
「なぁ、せやったらその穴埋めって余計に
俺か、侑にしか出来ひんと思うんやけど」
…
「まあ……そう かも、しれんなぁ」
Aが今日1番悲しそうな顔をした。
今日どころか、こんな顔をしたお姉はいつぶりに見ただろうか。
…
(A、あん時とおんなし顔や。)
それに気付いた時、俺は思わず笑みが溢れてしまった。俺は前にこの顔をしたAに惚れてしまったからだ。そうやこれは 俺がそれを自覚した瞬間の顔だ。
「…覚えてへんと思うけど、俺昔お前の事泣かせてしもたことあるんよ。」
歪んだAの顔を俺以外の誰にも見られないようにそっと手で覆った。
・
「あの時俺のせいで泣かせてしもて後悔したんやけど、同時にあん時お前の事好きになってしもて
…俺以外がAにそんな顔させるんは嫌や。せやから、俺がお前の事守ってやりたいねん なあ
好きやでA」
…
言い終えて暫くして、
大粒の涙が覆っていた俺の手を濡らした。
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兎海(プロフ) - さなさん» わ〜、（ ; ; ）楽しくよんでくださり、ありがとうございました！ (2020年6月30日 21時) (
レス) id: 7a66186871 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - 完結お疲れ様です！毎日楽しく読ませていただきました！ありがとうございました(o^^o) (2020年6月30日 21時) (レス) id: 044cdc5137 (このIDを非表示/違反報告)
兎海(プロフ) - すみた先生さん» うれしいです（ ; ; ）読んでくださりありがとうございました！ (2020年6月30日 18時) (レス) id: 7a66186871 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - 完結おめでとうございます！いつも楽しく、ドキドキさせてもらいました！ (2020年6月30日 17時) (レス) id: 3d497f3b24 (このIDを非表示/違反報告)
兎海(プロフ) - 東雲。さん» 本当ですね…汗 ご指摘ありがとうございます！訂正しました。 (2020年6月21日 8時) (レス) id: 7a66186871 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：兎海 | 作成日時：2020年5月16日 23時
