飯 ページ19
(治side
帰宅すると、お姉がいつも以上に張り切って夕飯の準備に取り掛かっていた。カレーの匂いが部屋いっぱいに立ち込めて、つられて腹が鳴った。
「おかえり、手洗っといで」
いつも通りの穏やかな笑顔でお姉が言った。
・
・
侑「ごちそうさまー」
「はーい、食器水浸しといて
治はおかわり？」
治「おん‥！」
Aの作る飯は美味い。
飯を食うと、出し切ったはずのエネルギーがまた体の内側からブワァっと湧いてくる。寝る前の走り込みの時のように
侑は食べ終えるとさっさと部屋に戻ってしまい、お姉は俺の食べ終わりを待ちながら向かいの椅子に腰掛けて、テレビをみている。
‥
「なぁ治」
と思ったら、突然俺に話しかけた。
で、お姉の顔を見るなり俺は悟った
ああこの顔は、もう見破られてしもたな、って
・
・
・
「進路の悩みか？」
‥
「‥こわ、そこまで分かるん？」
「食べとる時も美味しくなさそうな顔しとるから
「いや、めっちゃ美味いで」
「フッフ、良かった」
‥
「美味いから、揺らぐ」
「‥というと？」
‥
「俺な、高校でバレー辞めようと思ってん」
‥
「そうか
治、夢があるんやね」
「‥反対せんの？」
「まさか」
「やけどな その反面辞めたくない自分もおって、最近バレーしとる時と飯食ってる時辛いんよ。
今日も全然動けへんかったし
今度の試合 無理かも知れん」
・
気付いたら胸の内を全て言ってしまった。
悩みの種は先日、お姉が試合を観に行くと言った日から、一気に大きくなってしまった。
バレーを辞めたら
ひょっとしたら俺には何も残らんかもしれん。バレーを辞めたら俺にお姉は笑ってくれなくなるかも知れん。そんな事ばかりで頭がいっぱいになって部活どころではなくなってしまった。
気を紛らわす為に、あついカレーをまた一口
口に運んだ。
「治」
それを見たお姉が椅子から立ち上がり、俺に歩み寄ってそして空いていた左手を優しく握った。
・
「治、無理して食べんでええんよ」
「‥‥」
・
ぽろっと頬を伝った涙を少し遅れて認識した。
やがて咀嚼したカレーの味が薄くなっていく
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兎海(プロフ) - さなさん» わ〜、（ ; ; ）楽しくよんでくださり、ありがとうございました！ (2020年6月30日 21時) (
レス) id: 7a66186871 (このIDを非表示/違反報告)
さな(プロフ) - 完結お疲れ様です！毎日楽しく読ませていただきました！ありがとうございました(o^^o) (2020年6月30日 21時) (レス) id: 044cdc5137 (このIDを非表示/違反報告)
兎海(プロフ) - すみた先生さん» うれしいです（ ; ; ）読んでくださりありがとうございました！ (2020年6月30日 18時) (レス) id: 7a66186871 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - 完結おめでとうございます！いつも楽しく、ドキドキさせてもらいました！ (2020年6月30日 17時) (レス) id: 3d497f3b24 (このIDを非表示/違反報告)
兎海(プロフ) - 東雲。さん» 本当ですね…汗 ご指摘ありがとうございます！訂正しました。 (2020年6月21日 8時) (レス) id: 7a66186871 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：兎海 | 作成日時：2020年5月16日 23時
