レディキラー（※後） ページ9
(※やや注意)
その後、どうやって帰って来たかは覚えてない。皆に挨拶もそこそこに、ただ無言で私の手を引っ張る宏規くんとタクシーに乗り込んで着いたのは宏規くんの家だった。
(あれ、此処)
自分の家じゃない。そう思ったと同時に玄関まで入って扉がしまると、壁に手をつかれて突然キスをされた。
「んんっ…！」
帰り道から怒っているというのは理解できた。宏規くんは感情を隠さないタイプだ。ただ私も酔っていてちゃんと考えて話すのも難しいくらい、視界がくらくらする。深いのをされたと思ったら、アウターの釦を外されてそのまま服の隙間から直に肌に手が這う。さすがに酔った私も宏規くんの胸を押したけど、男の人には敵わない。
「あいつも、こういう事しようとしたの。わかる？」
「…っは、ひろき、く」
「あんまり一緒にいると変だって言うから、違う場所座った俺の間違いやったわ。Aと喧嘩しても無理やり隣いるべきやった」
「ひゃ、」
この関係を知るのはほんの一握り。私達はまだ20歳を過ぎたとはいえ、この世界ではまだまだ未熟な子ども同然の若手。首筋に顔を埋められたあたりから、まともに立てなくなって必死に宏規くんにしがみつく。息が出来ない。くらくらふわふわする。お酒のせいなのか。それともこれのせいなのか。
「ごめんね。でも、あの人は女の子なら誰でもいいタイプだと思うから、断ったら他行ったと思う」
「Aは甘いわ。今だって力で勝てないの分ったやろ」
「ん、」
自分の考えは甘いと言って唇を塞がれる。熱い。店にいた時よりずっと熱い。くらくらする。唇が離れたと思うと額同士はくっついたままで、拗ねた様子の宏規くんと目が合う。
「なぁ、分って。俺が毎日Aの事どんなに心配しとるか」
「心配かけてごめん。…確かにあのままあの人に触られたりしたら嫌だけど」
「うん」
「宏規くんなら、いいよ」
普段なら言わない事を口走ってる自覚は頭の何処かではある。あるんだけど恥ずかしくないのは、お酒のせいだ。宏規くんは驚いた顔をした後、深い溜息を吐いてそのまま私を乱暴に抱き上げる。反動でぼとぼとと廊下にパンプスが転がって、気付けばベッドの上に放られていた。ぎしり、とスプリングの軋む音が聞こえて、天井と宏規くんの顔が見える。いつもより低く掠れた声に眩暈がした。
「ぜってー泣かす」
翌朝起きてベッドの隅にあった空の箱と脱ぎ散らかった衣服を見て叫ぶ未来は、今の私には分からない。
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emer(プロフ) - ジゼルさん» ご感想ありがとうございます！とても嬉しいです〜！初小説で拙いですがご感想励みに頑張ります…！ (2020年4月21日 23時) (
レス) id: a9775c7f67 (このIDを非表示/違反報告)
ジゼル - 凄く面白いです！！！夢中で読んでしまいました(*´ω｀*)ご無理せず更新頑張ってください！！！ (2020年4月21日 1時) (レス) id: a4f4dbe6ea (このIDを非表示/違反報告)
emer(プロフ) - 晴菜さん» いつもありがとうございます。続編も程々に頑張ります！ (2019年11月3日 20時) (レス) id: cd93ae58f2 (このIDを非表示/違反報告)
晴菜 - 続き楽しみにしています！無理せず頑張って下さい！ (2019年11月3日 1時) (レス) id: 3c5af7941e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：emer | 作成日時：2019年10月31日 23時
