48話 ページ7
「もうマネージャーさんから各自聞いてると思うけど、参騎出陣が決まった。公演は来年夏になる」
何日目かの稽古日に3人が呼び出され、現時点で決まっている概要を話される。来夏には既に三浦くんと私はそれぞれ別のミュージカル、高野くんも映像の仕事が入っているという中でのタイトなスケジューリングだった。
「短期間でマチソワを3人とアンサンブルで回す形になる。3人にとっては1番きつい公演になると思う。でも、絶対新しくて挑戦的な話になるから。それに向けてそれぞれ準備をして欲しい」
「「「はい」」」
源氏は元々人気で、特に髭切と膝丸の2振を演じた2人のハマり具合は共演者の私から見ても相当なものだ。この2振だけでも十分成立する程の逸話と、キャストの能力。そこに加えてもらう事の意味を私は想像して震えた。茅野さんは私に向けて笑う。
「A。2人と同じくらい期待してるからな」
いつも男性キャストと同じくらい厳しく指導してくれる人からの激励に私は深く頷いた。それからみっちり稽古をして帰路につく。もうすぐ衣装を着て通し稽古が始まる。
着てみると練習通りに行かなかったりする。まず鈴鳴はストレッチ入れた素材にしてもらってるとはいえ、タイトなフロントスリットのスカートやガーターベルトのせいで可動域がなぁとあれこれ考えていると、ふいに肩を叩かれる。獣を聴いていたイヤホンを外すと、そこにはよく知った人がいた。
「三浦くん！」
「は、っはぁ、A歩くのめっちゃ速いなー。距離あったとはいえわりと本気で走ったわ…」
「あ、ご、ごめん。考え事してると早歩きになっちゃうから。でも、そんな走らなくても」
膝に手を当ててぐったりする三浦くんを見て私も屈む。すると三浦くんが顔を上げた。とても近い距離で彼と見つめ合う。
「……めっちゃ喉渇いた」
「え、」
「から、少しだけ俺に付き合ってくれへん？」
「！」
突然の誘いに、私は驚く。仕事もなにも関係なく一緒にいたのは夏バテ事件以来だ。また手が冷たくなる。私の緊張のサインだ。
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emer(プロフ) - ジゼルさん» ご感想ありがとうございます！とても嬉しいです〜！初小説で拙いですがご感想励みに頑張ります…！ (2020年4月21日 23時) (
レス) id: a9775c7f67 (このIDを非表示/違反報告)
ジゼル - 凄く面白いです！！！夢中で読んでしまいました(*´ω｀*)ご無理せず更新頑張ってください！！！ (2020年4月21日 1時) (レス) id: a4f4dbe6ea (このIDを非表示/違反報告)
emer(プロフ) - 晴菜さん» いつもありがとうございます。続編も程々に頑張ります！ (2019年11月3日 20時) (レス) id: cd93ae58f2 (このIDを非表示/違反報告)
晴菜 - 続き楽しみにしています！無理せず頑張って下さい！ (2019年11月3日 1時) (レス) id: 3c5af7941e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：emer | 作成日時：2019年10月31日 23時
