46話 ページ5
乱舞祭の今回のテーマは「祭」。前回の百物語をベースにした展開から一変して、お祭りを楽しむ内容になっている。何より、
「やっぱこえーなぁ源氏3振。てか歌も踊りもパワーアップしてるってどういうこと」
「若いって怖いわぁ」
高橋くんと鳥越さんが稽古場の隅でそう零す。今回mistakeの他にも源氏3振をセンターにする演出や、カメラで抜かれるコンテも何箇所も増えていた。
「捨てられたら壊せたなら楽になるかな」
厚樫山組と一緒のIn My Lightのオケが流れる中、鈴鳴のソロパートでターンを決めながら虚空に手を伸ばす。いつも笑顔の鈴鳴が切なそうな視線を客席に向けて歌うシーン。今回は去年より何倍もきつい。古今東西の祭を取り入れた演出は踊りのタイプもバラバラで、それをやった上で自分達の持ち曲も当然やる。
「その度、傷ついても何度だって手を伸ばすよ」
髭切のパートでは進化した三浦くんのビブラートに高野くんと思わず目を丸くして驚いた。高野くんも更に安定した歌唱力とダンスのキレを披露して、麻璃央くんが仕掛けた近距離の絡みにも笑って顔を近づけて返す。
「この目で何を見つめて」
「刻んで、抱きしめて」
「〜信じ続けてきたの、自分自身を。翳せIn My Light」
阿津賀志山組が中心で円になるのを源氏3振が間隔を空けて前に立って囲んで歌って踊る。1曲終わるとちらほら拍手が起きた。興奮気味の他の公演の面々が「すげー」と声を漏らしてた。
終わってから三浦くんと高野くんが汗を拭きながら笑って歩み寄っていた。
「洸、麻璃央くんの絡みによう怯まんかったなー！あの人いきなりやりよるから怖い」
「いや宏規のビブラートの進化に俺はやばいってなった。喉どうなってんの」
2人はいつもどおり。それはそうだ。2人同士の間で何か関係あることじゃない。私も表面上はいつもどおりの筈で。とりあえず稽古に集中！とボードに貼り出されてる確認表を見る。位置確認用にキャストの名前の書かれたマグネットがあるのだけど、それが何故か私のだけボードのてっぺんに貼られていた。大平くんか鳥越さんかな…と苦笑しながらマグネットに手を伸ばす。
「よっ…、ど、どうやって貼ったの…？高いなぁ」
ちょっと本気でジャンプしないと無理では？と思っていると後ろから影がさして「ほっ」と声が聞こえた。後ろからボードを挟む形で手をつかれていて、私は身動きできずに固まる。よく知った香水の匂いがした。振り返ると三浦くんが立っている。
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emer(プロフ) - ジゼルさん» ご感想ありがとうございます！とても嬉しいです〜！初小説で拙いですがご感想励みに頑張ります…！ (2020年4月21日 23時) (
レス) id: a9775c7f67 (このIDを非表示/違反報告)
ジゼル - 凄く面白いです！！！夢中で読んでしまいました(*´ω｀*)ご無理せず更新頑張ってください！！！ (2020年4月21日 1時) (レス) id: a4f4dbe6ea (このIDを非表示/違反報告)
emer(プロフ) - 晴菜さん» いつもありがとうございます。続編も程々に頑張ります！ (2019年11月3日 20時) (レス) id: cd93ae58f2 (このIDを非表示/違反報告)
晴菜 - 続き楽しみにしています！無理せず頑張って下さい！ (2019年11月3日 1時) (レス) id: 3c5af7941e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：emer | 作成日時：2019年10月31日 23時
