63話 ページ25
それからは主に三浦くんの話で、今年春から始まるレミゼ。生オケが凄いとか、アンサンブルパートでマリウス以外にも色んな役をするとか、著名なミュージカル俳優さんの此処が凄いとか色々だ。
「稽古って半年くらいがっつりやるんだね」
「そうなんよ。刀剣とかわりと短いしなぁ。でもAも稽古中でしょ？」
「そう。もう口から内臓出そう……ヒールでタップダンスとかあるんだけど足今ぼろぼろだよ」
「エニゴな〜！俺そっちも観に行きたいわ。Aちゃんお嬢様役やるんやろ？」
井阪くんが興味津々と言った様子で尋ねてくるので「良ければチケットお渡ししましょうか」と言うと「やったー！」とはしゃぐ。そこで私は三浦くんの方を見る。三浦くんはじとーっと私の方を見ていて、何となく拗ねているようだった。
「え、み、三浦くんも観る？」
「そら観たいに決まってるやん！てか普通いくみんより先に教えてくれるとこ！！」
「ええっ！？ごめん。いや、でもなんか気恥ずかしくて」
「いや俺には気恥ずかしくないんかーい」
三浦くんに正直な気持ちを弁明していると、井阪くんが笑いながら私に突っ込んでくる。そして「ていうか」と井阪くんは話を続ける。
「Aちゃんはレミゼ観に来んの？」
「一般でチケットとろうかなと思ってました」
「は！？いや、渡す渡す。大地くんとかも来てくれるし」
「宏規かてAちゃんに言うてないやんか〜」
「いや、だってそれはさー」
三浦くんは何かを言いかけて口ごもる。何か言いたげだったのに、急に「ごめん。一旦トイレ行ってくるわ」と言って席を外す。井阪くんが行ってらっしゃいと手をひらひらと振った。今日の三浦くんは何だかいつもより拗ねたり照れたり感情豊かだ。いや、前から表情豊かな人なのだけど。
「いっつもあんなもんよ」
「え？」
「宏規。Aちゃんの前では結構お兄さん頑張ってたみたいやけど。男ってかっこつけたがりやからさぁ。好きな子の前では」
でも、と井阪くんは笑う。
「長く一緒にいるんやったら、お互い素も出していかんと思うんよね。だからAちゃんも悩んだり思う事は、どんどん言い。Aちゃんも楽やろうし、宏規もその方が嬉しいやろし」
この人は本当に冗談めかして言うけれど、三浦くんの保護者でお兄さんで友達なんだなぁと痛感した。
「今日井阪くんに会えて良かったです」
「ほんま！？良かったー。俺もやよ。また話そうな」
そして1つ、井坂くんはある事を教えてくれた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 207人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
emer(プロフ) - ジゼルさん» ご感想ありがとうございます！とても嬉しいです〜！初小説で拙いですがご感想励みに頑張ります…！ (2020年4月21日 23時) (
レス) id: a9775c7f67 (このIDを非表示/違反報告)
ジゼル - 凄く面白いです！！！夢中で読んでしまいました(*´ω｀*)ご無理せず更新頑張ってください！！！ (2020年4月21日 1時) (レス) id: a4f4dbe6ea (このIDを非表示/違反報告)
emer(プロフ) - 晴菜さん» いつもありがとうございます。続編も程々に頑張ります！ (2019年11月3日 20時) (レス) id: cd93ae58f2 (このIDを非表示/違反報告)
晴菜 - 続き楽しみにしています！無理せず頑張って下さい！ (2019年11月3日 1時) (レス) id: 3c5af7941e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：emer | 作成日時：2019年10月31日 23時
