44話 ページ3
「Aー死ぬなー。おーい」
稽古帰りに連絡を入れて向かったのは麻ちゃんの家だ。何かの舞台の関係でずっと台湾に行っていたらしく、そのお土産を頭の上に乗っけられてからもう随分経った。私はずっとテーブルに伏せっていて呻き声を上げている。
「しかしそうかぁ。高野くんか。ノーマークだったなぁ。…でも「もう」伝える事を止めないってあたり、結構前から好きだったのかねぇ」
「私人生でこんな直球に告白された事ないよ…」
「そこはさすが九州男児、1年越しの大告白って感じ？知らんけど」
「なにその関西なノリの語尾…。知っておいてよ〜〜」
理不尽な事を言いながら、頭の上に乗っけられたお土産を手に取り「ありがとう」とお礼を言う。麻ちゃんは苦笑しながら私を見る。
「Aは今どういう気持ちでそうなってるの」
「とにかく驚きが勝ってる…なんで自分だったのか、とか」
「気を遣わない異性って特別なのかもねぇ高野くんにとっては。Aの素直で素朴な感じが居心地いいのかも。あんた良くも悪くも裏表ないしね」
褒められてるんだろうかそれはと思いつつ、麻ちゃんの話を聞く。
「ま、これも経験だ。しかも同時に2人なんてAもなかなか小悪魔じゃないのよ〜」
「またそうやって面白がって……。とにかくこの前の稽古場の私は顔に出過ぎた...。麻璃央くんがいなかったら、稽古中でも引きずってた」
今大事にすべきは目の前の仕事。幕が上がれば、私と高野くんと三浦くんは「兄弟」で「刀」。尽くすべきは最善で、尽くす相手は審神者である主達だ。
「……麻ちゃん。また私、ずるい奴かも」
「ぜーんぜん。仕事を優先する良い女の顔してるよ。私は好き」
「必ず答えは出す。でも今優先するものは仕事。それでいいかな」
「高野くんも覚悟の上でしょ。言うタイミングがたまたまそこだっただけで。…三浦くんの事は？」
麻ちゃんの質問に私は少し考えて、呼吸を深く吸って吐き出して、笑みを作る。
「仕事を頑張る。乱舞祭を精一杯頑張って最高のものにして、そしたら2人と向き合う」
「そっか。ん、よし。Aが幸せになる結果報告を待ってる！」
「麻ちゃんいつもありがとう。色々頑張る！」
「おう！頑張れ〜。最高に可愛くて綺麗な鈴鳴見せてこい！私も観に行く〜！！」
団扇作っていくぞ〜！なんてにこっと笑う麻ちゃんに、私もつられて笑った。
1番大切にすべき事を忘れてはいけない。
45話-Side Hiroki-→←43話-Side Akira-
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 207人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
emer(プロフ) - ジゼルさん» ご感想ありがとうございます！とても嬉しいです〜！初小説で拙いですがご感想励みに頑張ります…！ (2020年4月21日 23時) (
レス) id: a9775c7f67 (このIDを非表示/違反報告)
ジゼル - 凄く面白いです！！！夢中で読んでしまいました(*´ω｀*)ご無理せず更新頑張ってください！！！ (2020年4月21日 1時) (レス) id: a4f4dbe6ea (このIDを非表示/違反報告)
emer(プロフ) - 晴菜さん» いつもありがとうございます。続編も程々に頑張ります！ (2019年11月3日 20時) (レス) id: cd93ae58f2 (このIDを非表示/違反報告)
晴菜 - 続き楽しみにしています！無理せず頑張って下さい！ (2019年11月3日 1時) (レス) id: 3c5af7941e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：emer | 作成日時：2019年10月31日 23時
