58話 ページ20
参騎出陣が正式発表された。どんな内容になるかはまだ分からないけど、お客さん達の期待値は上々で私達も気合が入る。乱舞祭が終わったら、なんて言っていたけど其処から年明けまで刀ミュというコンテンツの熱量は凄まじくて、合間に囲み取材や別な仕事も挟みながら鈴鳴を演じ続けた。
(いま多分人生で1番睡眠時間が少ない……)
眠いなぁとふらふらしつつある場所に向う。何度か行った事のある場所だから間違えない。そこには待ち合わせをしている人がいた。
「お疲れ。はは、すんごい顔」
「高野くんもお疲れ気味だよ顔が」
「お互い今はきついよな〜。…それにしても、良かったのに」
「え？」
「返事。LINEとかで」
なんでもLINEで済ませる世代だ。友情も愛情を育むのも結構そのツールに頼っている子は多いかもしれない。私は首を横に振る。
「高野くんは直接言ってくれたから、私も直接言いたい」
「真面目だなぁ」
「か、からかわないで」
でも茶化してくれる雰囲気にあえてしてくれてるんだという事も、ちゃんと分ってる。人通りがまばらな道のはずれ。街路樹は綺麗に飾られてイルミネーションがきらきら輝いている。
「好きって言ってくれてありがとう。とっても嬉しかった」
「うん」
「でも、」
ごまかさないって決めた。もうずるはしないって決めた。こんな贅沢で残酷な事、自分がするなんて思ってもみなかった。でも高野くんは相変わらず笑っている。
「Aがそんな辛そうでどうすんの」
「…ほんとに、そうだよね。ごめん」
「言う前から分ってたし。けじめつけたくて言った所もあったから。だからA」
泣かないで、と頭を撫でられると一層泣きそうになった。でも私が泣くのはおかしい。だから、ぐっと堪えて顔を上げて笑った。きっと今年一番下手くそな笑みだったと思う。
「変わらず俺とも話してくれたら嬉しい」
「そんなの私の方こそだよ」
「はは。じゃゲームもしよう。いつも話してばっかで一緒にやった事ないし」
「言ってたオンラインゲームのやつ？私下手でよく友達に笑われるけど」
「そこは俺が教えるし大丈夫。宏規…宏規やるかなぁ、そういうゲーム」
「どうかなぁ」
くしゃくしゃと頭を撫でられる。本当にお兄さんみたいで、大きな手で、安心する。
「Aの幸せを1番に願ってるから」
「……ありがとう」
高野くんの幸せだって願ってる。でも今の自分が言う資格があるか迷って、ただただ精一杯正直にお礼を言った。
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emer(プロフ) - ジゼルさん» ご感想ありがとうございます！とても嬉しいです〜！初小説で拙いですがご感想励みに頑張ります…！ (2020年4月21日 23時) (
レス) id: a9775c7f67 (このIDを非表示/違反報告)
ジゼル - 凄く面白いです！！！夢中で読んでしまいました(*´ω｀*)ご無理せず更新頑張ってください！！！ (2020年4月21日 1時) (レス) id: a4f4dbe6ea (このIDを非表示/違反報告)
emer(プロフ) - 晴菜さん» いつもありがとうございます。続編も程々に頑張ります！ (2019年11月3日 20時) (レス) id: cd93ae58f2 (このIDを非表示/違反報告)
晴菜 - 続き楽しみにしています！無理せず頑張って下さい！ (2019年11月3日 1時) (レス) id: 3c5af7941e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：emer | 作成日時：2019年10月31日 23時
