52話 ページ13
真剣乱舞祭のスタートは1日限りの福井から始まる。
大所帯の楽屋や廊下は色々な物が所狭しと並んでいて、ケータリングコーナーでは早速喉を潤している面々も見えた。
「お！A。鈴鳴のソロ曲よろしくね」
「荒木さん。此方こそよろしくお願いします。きっと皆若様ー！ってなりますね」
鈴鳴のソロ曲は元々後ろでダンサーさん達はタキシードで踊っていたので、ペアダンスをする歴史上の人物の役者さんがそれを着る。荒木さんは「なるかな〜？」と笑っていた。
「しげ美さんとAのペアは美女と野獣だったわ」
「いや体格だけで言ってますよねそれ！1回ずつ交代制ですよね？」
「んー？うん。大阪、」
「大阪？」
「あー、大阪も俺の担当の時あるなーって！」
それから「頑張ろうな」と言われ、荒木さんとハイタッチをした。メトロノームを使って幕末組が歌の調整をやっている。いよいよ始まる。体のメンテナンスはしっかりしたし、体のラインの出る服装だから絞りに絞った。去年より今の方が、歌も踊りも技術と経験は上がっている筈。
「最初は巴と一緒に舞かぁ」
「頑張ってね。袖で見てるから」
「ありが……とう！？」
「いや驚きすぎ。全然後ろから声かけても気づかないし」
突然会話が始まったと思って横を見ると、膝丸姿の高野くんがいた。笑顔で余裕綽々そうだなぁと、私も笑う。
「全然緊張してなさそう」
「いやめっちゃしてるし。でもまぁ、去年より切羽詰まってないかなぁ」
「つはもの挟んで乱舞祭だったしねぇ」
「参騎はこんな事言ってられなさそうだけどね」
「茅野さん達だもんなぁ〜」
あははと笑うと、高野くんがぴたりと立ち止まって私を見る。
「この乱舞祭、Aにあっと言わせるから」
「ええ…！？日替わりで無茶振りとか？」
「はは。それはどっちかって言うと宏規じゃない？」
「なんだろ〜。怖いなぁ、あんまりいじめないでね」
まぁ振られたら返すしかないのだけど、膝丸もとい高野くんの性格上そんな事してこなさそうだけどなぁと思っていると、手をぎゅっと握られる。驚いて高野くんを見ると、彼はにっと笑った。
「……これもその1つ？」
「まさか。こんな可愛いもんじゃないよ」
これで可愛いレベルなら私はこれ以上は死んでしまう自信しかないけど？と、突っ込みたくなる。
「まぁ、油断せず覚悟しといて」
「な、何されるの私…？」
爽やかな笑顔で去って行った高野くんの後姿を見ながら、私は新たな緊張に襲われるのだった。
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emer(プロフ) - ジゼルさん» ご感想ありがとうございます！とても嬉しいです〜！初小説で拙いですがご感想励みに頑張ります…！ (2020年4月21日 23時) (
レス) id: a9775c7f67 (このIDを非表示/違反報告)
ジゼル - 凄く面白いです！！！夢中で読んでしまいました(*´ω｀*)ご無理せず更新頑張ってください！！！ (2020年4月21日 1時) (レス) id: a4f4dbe6ea (このIDを非表示/違反報告)
emer(プロフ) - 晴菜さん» いつもありがとうございます。続編も程々に頑張ります！ (2019年11月3日 20時) (レス) id: cd93ae58f2 (このIDを非表示/違反報告)
晴菜 - 続き楽しみにしています！無理せず頑張って下さい！ (2019年11月3日 1時) (レス) id: 3c5af7941e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：emer | 作成日時：2019年10月31日 23時
