離れられない ページ8
・
夕方前の一番暑い時間、皆でバシャバシャと水遊びをする。
いい大人が９人に、身体の大きな男子高生１人が子供用のプールや水鉄砲を使ってこれでもかってはしゃぐ。
「もうっ、顔にかけないでよっ！」
佐「ごめーんっ！ て、油断させといてていっ！」
向「うひゃっ！ 誰やねんプールに洗剤入れよったん？ヌルヌルやないかー！」
ラ「それ俺。巨大シャボン玉作れないかなって」
向「ええ〜めっちゃ可愛ええことするやん！やろやろ！できるか？」
阿「やろうと思えばできるよね。まずは、」
渡「うわっ、日焼けしてんじゃん！ちょっとパラソルはぁ？ 照持ってきて」
宮「照ならあそこで腕立てしてるから無理だよ。ほらこれでいい？」
一通り好き勝手遊んで、コンクリートに敷き詰めたレジャーシートの上に皆で転がって赤く染まった空を見上げた。
これだけみればすっごく平和だ。
けれどもうすぐこのスーパーの周りにも沢山ゾンビが現れるんだろう。
人は隠れてゾンビが闊歩する夜が始まる。
深「………あのさ」
ふあー、と優しい風が吹いて乾き始めた髪を攫う。
深「俺やっぱり、あいつを助けてえわ」
ふっかさんが屋上に来てやっと喋った最初の言葉だった。
ずっとずっと思い詰めた顔を隠しきれていなかったから、皆それに気付いてはいたけど触れないようにしていて、ふっかさんの言葉に皆答えは一つだった。
岩「行こう。嫁さん助けに」
「「おう」」
深「ごめん。ありがとう……」
.
夜に動くのはよくないからその日は計画と準備、そして休息のために夜を過ごした。
深「これは俺の我儘になるから、お前らは此処で助けを待ってた方がいい」
ふっかさんのお嫁さんを知っているのは高校時代を共に過ごした人達で、私やラウール君、目黒さんや向井さんは知らない。
だから危険な場所へ行くより、此処に残るべきだってふっかさんは言うけど私は嫌だった。
「私は行きます！ ここまで一緒だったんだもん。ずっと一緒に居る！」
岩「死ぬかもしんないよ？」
「だったら尚更っ……」
強く握り締めた拳の上に、さっくんの手が乗ってギュッと握られた。
佐「大丈夫。俺が守るよ。一緒に行こう」
「……っ、うん！」
渡「え、なにお前ら付き合ってんの？」
「ち、違います！」
違うけど、私は真っ先にさっくんの顔を思い浮かべてたのは確かだ。
離れたくないって思ったから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1362人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきんこ(プロフ) - k.さん» コメントありがとうございます！恋愛モノとしては物足りないだろうこちらの作品を読もうと思ってくださったことに感謝です😭 💜さんは皆さん言ってくださいますね。私が何気に一番頑張って書いたところです。こちらこそありがとうございました😌 (2023年3月19日 22時) (
レス) id: 681c78ed1e (このIDを非表示/違反報告)
k.(プロフ) - こんばんは！いつも楽しくお話し読ませてもらっています！このお話以外も好きですが、このお話は読み終わってもずっと頭から離れず、すごく感動しました！特にふっかさんのとことか号泣しすぎてやばかったです…笑 素敵なお話を作ってくださりありがとうございました！ (2023年2月21日 22時) (レス) @page29 id: c4337e5301 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - リナさん» コメントありがとうございます！わわっ、そう言ってもらえて良かったです！もうここを書いた後どんな風に思われるかある意味恐怖でして。カッコいい結末にできたと思ってます。かっこいいです！彼は嫁も仲間も救いました！ (2021年9月17日 20時) (レス) id: e6ed62ce5f (このIDを非表示/違反報告)
リナ(プロフ) - ふっかさんの漢気に涙が止まりません！！買い物途中にも思い出して泣きそうになりました、どーしてくれるんですか！ふっかさん！！！ (2021年9月17日 17時) (レス) id: 7aedc618bf (このIDを非表示/違反報告)
ゆきんこ(プロフ) - あきさん» あきさん！コメントありがとうございます！そして読んでくださるんですね(泣)自分で書いてて最低←ですが覚悟しておいてもらえると(ええ色々と)助かります(汗)分かりやすい展開が待ってると思いますがよろしくお願いします。 (2021年8月17日 22時) (レス) id: bf817d2202 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆきんこ
| 作成日時：2021年8月17日 11時
