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智side
最近、とうちゃんとかあちゃんが家を建てて、引越しをした。
車椅子でも動きやすいように設計してもらったから、
とても快適に過ごせている。
学校もまあまあ順調。
でも、一つだけ心配なことがある。
赤ちゃんの頃の病気のせいかみんなよりだいぶ体が弱い。
だから、ずっと病院に通っている。
潤先生は、「さみしいから、たまにはきてよ」って
病院が苦手なのを知っているのに言う。
引越しの話をした時、「少し遠くなるから、新しい
おうちの近くで診てもらうようにしようか」って
すすめられた。
びっくりして嫌だって言ったら、「しんどい時に
遠くまで通うの大変でしょ、先生の友達が近くで
クリニックをやっていると思うんだ」って言われた。
とうちゃんとかあちゃんも「こんなに病院が苦手でも
診てもらえますか？」って聞いていた。
潤先生は、「大丈夫だと思います、そういうことに
力を入れている先生なので心配しなくても。
採血も予防接種も上手です(笑)」って言った。
「いやだ、今日はもしもしだけって言った。
潤くんうそつき」
潤先生は、「今日のことじゃないよ、潤くん、うそつき
じゃないからね」って。
でもその日のもしもしは、いつもよりこわくていやで
涙がとまらなかった。
「いつもと一緒だよ、ベッドでお腹診せて」って言われた
けど、どうしてもできなかった。
「ベッドに寝ても、検査も点滴もしないよ。お腹だけだよ」って
何回も言われたけど、どうしてもできなかった。
「採血、予防接種って言ったからでしょ(笑)
最近、がんばってくれていたのに今日はだめかな。
『さと、お腹が痛くて診せたくないわけじゃないよね？』
ちゃんと教えて」
「お腹どうもないけど、できない」って答えたら、
「じゃあ、今日はいいよ。でも次は診せてよ」って言いながら
抱っこして車椅子に乗せてくれた。
「それでとっても軽いけど、ご飯はどう？」
「食べてる・・・」
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作者名：ばるこひめ | 作成日時：2021年6月15日 6時
